あの万田邦敏監督の最新作と聞けば行かないわけにはいかぬと『ありがとう』を見に新宿へ。
赤井英和が主演で阪神大震災の話らしいくらいの情報しか知らなくて、見てみると確かに赤井英和主演の阪神大震災の話だったんだけれど、いやー、すごい映画だった。まさか島木譲二がポコポコヘッドをしてる姿をスクリーンで見れるとは思わなかった。いや、まさか万田監督の作品で親子愛が見れるとは思わなかった。
お話の体としては、震災を乗り越えたカメラ屋さんの主人公が突然プロゴルファーを目指して頑張るという無理があるようなでも実話という感動ストーリーなんだけど、何がすごいってストーリー語る気のなさがすごい。だからなのかそれなのにか、めちゃくちゃ面白い。前半のしつこい程の震災のシーンは単純に圧倒されるしあんなセットよう作ったなと感心。色んな人が嫉妬してそうと余計な想像してしまう。中盤からの、赤井英和と光石研と尾美としのりのやりとり、夫婦の会話、そして後半の、冒頭でネタバレしてるのにひっぱりまくるプロテスト、そして薬師丸ひろ子(と仲村トオル)。そんなにゴルフ場の空撮気に入ったんかよと突っ込みたくもなるが、それも良しと思える程いちいちが映画で感動。
うーむ、『夫婦刑事』『UNLOVED』『続・夫婦刑事2』を撮って(どんなけ「夫婦」好きやねん)尚これかと思うと一刻も早く次回作(『接吻』)を見ないと落ち着かない。
しかしなんと今回東京に来て久しぶりの劇場のお客私以外にひとりだけ状態だった(大阪じゃよくあることだったけど)。色んな意味で大変なことである。そりゃ『デスノート』も面白いけどさ、でも映画見るならこっち見ようよー。
7月に引っ越して以来ずっと気になっていた近所のおにぎり専門店「ぼんご」(寿司屋風カウンター形式)にやっと行ってみた。午後4時と中途半端な時間なので空いていたが、TVの取材中らしく今イチ落ち着かなかったけどおいしかった。女性ならひとつで結構十分な大きさなので今回は高菜にぎりしか食べれなかったけど、20以上ある具はこれから攻めていきたい。
その後あれやこれや買い物や買い物やをしてたら丁度いい時間だったのでフィルムセンターで再開した溝口健二監督特集に行って『雪夫人絵図』(50年)を見る。結構な混雑。
婿養子の旦那に、自分の財産を使って愛人を作ったり変な商売に手を付けられたりと散々ひどいコトされてる主人公・雪(木暮実千代)。周りの人たちも旦那の悪行を知って雪の見方をしてくれてるのにどうしても旦那と別れられない。なぜなら彼女は旦那の肉体の虜だから。と、渡辺淳一先生もびっくりの熟女エロもの。エロいのなんのってあなた。まだまだ小娘の私には刺激が強過ぎて困ってしまいました。能面の帯締めとか、怖過ぎるし。
それがまた、具体的なエロ描写なんてものはあるわけなく、木暮実千代の表情がエロいとかでもなく、ただ木暮実千代が立ってる全身の姿だけで雰囲気が異様でエロくいのよ。なんか、着物の襟元の開き具合とか、人がいっぱいいるシーンでもそんなところに目をひかれてしまうマジック。昨今の、過激なシーン連続!みたいなちょいエロ系映画を作ってる人らに、女優をムダに脱がさなくても十分18禁の映画は撮れるんですよと教えたくなった。木暮実千代、他の映画ではこんなエロ気ムンムンな女性に見えなかったのなあ。ほんと不思議。
もちろんエロいだけが魅力な映画じゃなく、白黒画面に芦ノ湖の霧がかかるシーンの美しさ(それすらもなんでかエロいんだけど)や、人が動き回る旅館のセットやカメラの動きにもうっとり。終盤、旦那の姿が哀しくて泣ける。
フィルムセンター、最近混んでるわりには知り合いが少なくてちょっぴり寂しいデス。
なんか最近真面目なアメリカ映画ばっか見てんなーってことで、気楽にホラー映画でもと『テキサスチェーンソー:ビギニング』なんて見に行った私が馬鹿だった。始まって5分で大後悔。全然ホラーじゃなく、ただひたすら人間の肉が切られたり皮が剥がれたりする思いっきりスプラッター映画だったのだ。私はこういうのが何よりも苦手なのだ(血がっていうより、具体的な傷の映像とか話がダメ)。なので面白かったどうかの判断は保留。なぜなら半分以上目をつむっていたからさ。しかもトビー・フーパー監督『悪魔のいけにえ』のリメイクと後に知る始末。久々の大失態。
こんな映画見たらしばらく肉食えねー、と思ってたのに、数時間後には鴨肉を鉄板で焼いてレアで頂く。おいしゅうございました。
母親からもらったシャネルのジャケットのサイズお直し代で2万円(税抜き)。ヴィトンの腕時計電池交換代で6千円(税抜き)。ブランド狂気取りも楽じゃない。
思い出してたらどうしても読みたくなったので10年ぶりに「自虐の詩」を再購入。10年ぶりに号泣。いや10年前より泣いた。そして多分10年後に読むともっと泣く。そんな漫画。熊本さーん!!
上巻はちょっとダルくなるけどそれを我慢して下巻に進むとすごいことになります。
フィルメックスに通い始めて4年目にして初めて招待作品を見に行くために夕方有楽町に向かうと、劇場で遭遇した知人に「3時からの西島秀俊さんのトーク見てないの!?」と罵倒される。うちそんなん知らんかったがなー、とショックで目眩を起こしてると視線の先に西島さんのお姿。でも周囲の追っかけ風ファンの方々の鼻息に吹き飛ばされ近づけず。まあいいさ。そのことよりも、喫煙所で真横にいてらした諏訪敦彦監督に全く気付かず無視してしまってたことがショック。髪の毛切られるとわかんないよ...。
気を取り直して場内に入るも、映画上映前に40分程の授賞式があると知り、コンペ作品を一つも見てないのにこれはないなとその間は会場を抜け出してリニューアルした有楽町西武を視察。かなりグー。特に7階。
そんなこんなでやっとツァイ・ミンリャン監督最新作『黒眼圏』(くろめけん。中国語で殴られた時にできる目の周りのアザのことだそうな)を見る。あれ舞台が台湾じゃない、と思ったらそこはマレーシアで、ツァイ監督はマレーシアの方だったんですね。ファンとか言っときながら知らなかった。
男女5人の複雑な恋愛物語、とまとめられるのかな、これは。でも今までの作品よりは全っ然わかりやすく全うな愛に満ちたストーリー&映像。でも回りくどいこと極まりない&とりあえず極端なのは相変わらず。水の次は火かと思ったらやっぱり水やし。
こんなお話ならもうちょっと素直に撮ればいいじゃないかと文句も言いたくなるが、まあそれをしないところがツァイ監督を好きな所以でもあるし、廃墟の中の黒々とした水たまりや気持ち悪いけど美しい蛾や火山灰に咽せながらのラブシーンなんかはとても素敵で、他の人にはこんな風に撮れないだろうなと思わされたのでした。
来春渋谷イメージフォーラムで公開予定らしいので、ツァイ監督未体験の方も(デビューにはいいと思う)『西瓜』で「もうええわ!」となった方も見てみられたらよろしいかと思います。私も多分もう一回は見るかな。
上映後、女優チェン・シャンチーさんの舞台挨拶。最近のツァイ監督作品ではだるだるのTシャツを着てるろくでもない女みたいな姿しか見てなかったので、素敵なドレス姿で登場したチェンさんのお姿の美しさに今更ひどく衝撃を受ける。きれかった~。
自分の阿呆さがショック過ぎて本気で死にたい9割、自分の体がちょっと本気で心配1割。
天気の良い午後、久しぶりに(ごめん)風呂掃除をしたのですよ。が、「この洗剤全然泡立てへんな~」とイライラ。とりあえず洗うモノ系はモクモク泡が立たないと洗った気にならない性分なので、大量に噴射するも泡立ちは今イチのまま。それならばと必死で力を込めてゴシゴシ頑張る。顔にかかってもお構いなし。
で、想像以上に体力を消耗したので数時間休憩した後洗剤をしまおうとした時に、それが洗剤ではなく強力カビキラーだったということに気がついた。どーりで爪は変色してるし全身消毒液臭いしお風呂はプールのに匂いがするわけだわと納得。ボトルの色も形も違うのに気付かないもんかね私は。だから風呂掃除って嫌い。
引っ越しして初めて床暖房をつける。飼い主として情けなくなる程の猫の完敗っぷり。
良い天気。今日もせっせとフィルムセンターへ向かい、岡本喜八監督作品を見る。
『ああ爆弾』(64年)。出所直後のヤクザの組長と刑務所仲間の爆弾マニアが組を乗っ取った市会議員に復讐しようと奔放するお話、とまとめようと思えばまとめられるものの、始まってしばらくはあまりにぶっ飛んだ演出(こんなとんでもないことする人だなんて本当に想像してなかった...)&主演俳優(伊藤雄之助)のクド過ぎる芝居(アップとか、きついし...)にちょっと引いてしまった...。が、中盤から、演出というかただ色んなことが収集つかなくなって破綻してるだけじゃねーの?と疑ってしまいたくなる程の肝の座った悪ノリぶりが楽しくて仕方なくなってくる。なんの脈略もなく突然狂乱のダンス騒ぎだのミュージカルだのが始まって映画は大変なことに。大人のやんちゃってすごいなーと圧倒された。こんな映画が公開当時はどんな位置づけをされてたのかかなり気になる。
2本目は監督のデビュー作『結婚のすべて』(58年)。デビュー作なのに出演してる俳優が豪華で驚く。
進歩的な独身の妹と古風な既婚者の姉の結婚観の違いを巡る、なんかちょっと可愛いお話。ばんばん出てくる当時の若者の風俗が過激で面白い。ここでもみんな踊る踊る。昭和の人ってダンス好きよね。
とにかく、姉役の新珠三千代が美しくて美しくて。原節子の次に楳図かずおが好きそうな美人(もちろん妹役の雪村いづみも激かわ)。地味ーな哲学者役の上原謙は、黒ぶち眼鏡をかけようと言葉が訛っていようとエロかった。この2人の夫婦が終盤すごく素敵でさー、嘘をついたことを謝る妻に対して夫が「君が悪い時は僕も悪いんだよ」と言うセリフにはくらっときてしまったぜ(「ベルだよ」はさすがに照れくさ過ぎるけどさ...)。他にも恋愛映画として意外と素直に胸キュンしてしまう箇所数カ所有り。『ああ爆弾』とのギャップでか過ぎ。
でも私がこの映画の中で一番気に入ったのは、ヒロシという人非人な若者の彼女の登場シーン。私も一度でいいからあんな風になに食わぬ顔して踊り狂いながら帰宅してみたい。そして家族にスルーされたい。
2本とも、劇場の入り口でお客さんみんなに丁寧に挨拶している岡本監督の奥さまの姿にぐっときた。
岡本喜八、まだたった3本しか見てませんけど、こんなリズミカルな映画を撮る人とは。とにかく映画の映像やら音楽やらのリズムがすごい。それがかっこよくて決まってるから乗せられる。モダンだわ。
心の底から勤労に感謝しながら、夕方ふらっと渋谷に出て『麦の穂をゆらす風』を見る。06年カンヌパルムドール受賞作品。
ケン・ローチ監督の作品、あんまり見てないんだけど(こんなんばっかりやな)数年前に1人で『SWEET SIXTEEN』を見に行って、ラストのあまりのブルーさにかなり落ちた記憶があるのでちょっと怖かったのだが。
1920年代イギリスのひどい弾圧からの独立運動をめぐるアイルランドの若者達の物語、だけど、相変わらず世界史にとんと疎いgojoさん&残虐な描写の戦争映画なんて結構見慣れてるはずのgojoさんなのに、映画が始まって5分くらいから涙流しっ放し。ほんと、涙腺おかしくなったのかと自分でも疑ってしまうくらい泣いた。
ストーリーに何か劇的な感動エピソードがあるわけでもなく(それでも完璧なお話の進み方だけど)、特別に感情移入出来るキャラクターがいるわけでもないのにここまで泣いてしまったその理由は、多分この映画を英国人(映画の中では救い難く最低な存在)監督が撮っていて、そこにタイムリーに今私の心に引っかかってる「感情の持続力」の存在を思いっきり感じて、その力のパワーの強さと激しさと重要性にやられたんだと思われる。鶴見俊輔氏も仰ってたが、やっぱり日本人にこの力はないよな。日本人がこんな風に朝鮮や中国のことを撮る日が近いとは到底思えないし。
いやー、それにしても泣いた。人に映画を勧めるのってあまり好きじゃないのに最近勧めずにはいられない作品が多くて困ってるんですが、この映画も、「イギリス映画とか歴史ものとか苦手~」とカマトトぶってる場合ではなく、色んな人に見て欲しいなあ。祭日だからか今日は結構混んでたけど、もっと行くべし。126分とちょい長めやけど、気にするな。
上映終了後、劇場が明るくなってお客さんはみんな帰って行くのに、「呆然」としか言いようのない表情で座席に座り続けていた外国人男性2人組(なんとなくアメリカ人には見えなかった)の姿が印象に残る。
あの業田良家の名作『自虐の詩』が映画化って。しかも堤幸彦監督って。これ以上ない程の漫画への冒涜じゃね?そこに想像力のある人間は1人もいなかったのかよ。
ラッセン(画家)とAV女優のスキャンダルが面白くて仕方ないのは私だけでしょうか。
祭日の前夜のレディースデーに『DEATH NOTE the Last name』を1人で見に行くなんて我ながら勇気あるなあと思いながら、会社帰りのOLさんにまみれて映画鑑賞。
前編が結構気に入った分後編ぐだぐだだと悲しいなと危惧していたのだけれど、これまた結構ちゃんとした映画になってて感心。さすがというかやっぱりというか金子修介。最後の方とか、もっとCG使ってわけわかんないことになるのかと思ってたのに。原作を一切読んでないから物語的にはどうなのかとかわからないけど。2時間以上はさすがにちょっと長いし詰め込み過ぎ感はあるもののまあ仕方ないか。ここまで「作られた」映画でここまで満足させてくれるなら良しとする。これが今年最大のヒット作ならいいんじゃないでしょうか。
藤原竜也(キラ)と戸田恵梨香(キラ2。体が細すぎて見ててハラハラした)が部屋で話し合うとことか、捜査本部でのキラと松山ケンイチ(エル)のやりとりとか、地味なシーンでも退屈させないところに感心。藤原竜也がちゃんと字の練習をした形跡が見てわかるのにも感心。片瀬那奈の中途半端なサービスショットは謎(でもこんなにスタイルいい人とは知らなかった。足超キレーのな)。
そして松山ケンイチ。可愛い。可愛過ぎる。完全にハマった。前作よりもお茶目キャラなエルに萌えまくり。『不良少年の夢』を見た時はそんな気にならなかったのになー。やっぱり男は長髪かしらん。
エンドロールで2人目の死神の声優を知った時は声を出して笑ってしまった。
今日もせっせと有楽町へ、先日の続きとも言えるフィルメックスでのダニエル・シュミット監督作品を見に。本日は『天使の影』(76年)。
冒頭の、寒そうな川岸で焚火にあたりながら若くない娼婦達が客待ち中にか細い声で唄っている時点であまりの恐ろしさにぞっとしてたら、そのまま105分間恐怖はいや増すばかりだった。怖い、怖いよ。
暴力的なヒモをもつ病弱な娼婦が、金持ちの不動産業の男に気に入られたことで色んな関係に変化が生じていくお話なんだけれど、なんか、ただ話してるだけのシーン(の連続)なのに不穏過ぎる。突然流れる場違いに明るい音楽もなんかおかしい。オヤジの姿が泣ける(あの、終盤みんなが集まる場所は何なんだ?)猫は殺しちゃいけない。ラウル役がファスビンダーさんとは知らなんだ。
こんな映画を撮る監督を今まで殆ど知らなかったというのがまた恐ろしい話でゾッとする。近々特集上映があるという噂を耳にしたが、通わないことには死んでも死にきれない気分だわさ。
ということは、名前ばっかり知ってるけどこれまた作品を殆ど見てない岡本喜八監督ってのも実はすごい人なんじゃないのかと思えてきたので、そのままフィルムセンターに移動して岡本監督特集。外国人客率高くてびびる。
で、『斬る』(68年)を見たのだけれど、ひやー、これまた面白くてびっくりこきまろ。見て良かった。
侍くずれの浪人仲代達矢(惚れた)と農民から侍を目指す高橋悦史の2人が主人公の時代劇、が、基本的にコメディでめっちゃ笑える。でも泣ける。でも泣けるシーンの音楽が祭り囃子だったりしてはぐらかされる。でもラストの農民達が本当にお祭り騒ぎするシーンはあまりに不意打ち過ぎて泣ける。
114分だけど、テンポ良過ぎて全然飽きない。物語も、侍(お上)が全然かっこよく見えなくてよろしい。英語タイトルや、劇中出てくる「斬る」という単語が「kill」と訳されていた大胆なダジャレっぷりもよろしい。
劇場のロビーに岡本監督の遺品として展示されてた絵コンテのあまりの細かさにびっくりしたんだけど、この映画もそこまで考えて撮られたのかしら。そうだとしたらすごい話や。
数日遅れですが、先日見に行った『9.11-8.15 日本心中』。人に勧められるがままに行ったので、大浦信行という監督の経歴や作品自体の内容などについても全く無知状態。ドキュメンタリー映画&145分えらい長いなーくらいの情報しか持たず。
それでも一応タイトルからなんとなく中身の想像をしてたつもりだが、うむ、想像以上の政治っぷりで、ドキュメンタリーと呼んでいいのか映画と言ってしまっていいのかという疑問を抱きそうになったけれど、作品自体は大変面白かったのでした。
針生一郎(美術評論家?)が芸術やら思想やら政治やら天皇やらについて数人の知識人(詳しくはHPとか見てね)と語り合う姿をひたすらカメラが追う。撮影中に9.11が起こってしまう。でも映画は続く。
映画の中で議論されてる話はどれも大変興味深く面白く(詳しくは映画見てね)刺激的だった。が、その中でもやはり群を抜いて惹かれたのが金芝河(キム・ジハ)という韓国の詩人。私はこの作品を見るまで名前も知らなかったけれど、こんな人が韓国に、アジアに、世界に存在したんだとちょっと感動した。世界を転換するための言葉がかっちょいい。「政治映画とか苦手~」とカマトトぶってる場合ではなく、出来るだけ多くの人が見て聞いて考えてくれればいいなあと願う。大浦監督の他の作品も見たいな。
鶴見俊輔の「韓国人の感情の持続力」という言葉が気に入った。
重信メイの出演シーンだけがなぜやたらとドラマチック仕立てなんだろうと気になった。ラストの10分は映画的には不要だった気もしないこともない...。あ、でも戦争画が船に乗って河を渡ってるのは面白かった。
今年ももう東京フィルメックスの季節やねえ、ってことで、大雨の中頑張って有楽町へ行き、今年の8月6日に逝去されたダニエル・シュミット監督追悼上映に足を運ぶ。亡くなったと聞いた時すごいショックを受けてみたが、よく考えれば殆ど作品は見たことがなかったのだった。なは。
会場は思ってたより空いてたけど、思った通りの知り合い祭り。みなさん日曜の夜にご苦労さんどす。
上映前に、フィルメックスのディレクター市山尚三氏と映画監督黒沢清氏のトークショー有り。が、自分のフィルメックススケジュールの勘違いに焦ってパニくり過ぎてちゃんとお話聞けず。無念。
で、なんとか落ち着いて『ヴィオランタ』(77年)を観賞。スイスの小さな村に住むヴィオランタという女性の義理の息子やら娘やら死んだ夫やらを巡るお話、と書けばなんだか平和な感じだけど、めっちゃ怖い。めっちゃおもろい。なんじゃこりゃ。
冒頭「ボートに人乗ってたんかい!」と突っ込まずにはいられない驚きから、宿屋のおばさんの不穏な笑顔やら笑い声やら突然のダンスやら、ただ白い山が映ってるだけの映像やらにひたすら驚きまくってたら、亡霊の出現により驚いていいんやら怖がっていいんやらなんか男って可哀相と同情すればいいんやらわからなくなって1人で混乱。霊なのに普通の人にしか見えなくて更に混乱。そんなところにショッキング過ぎるラスト。陽気な音楽に包まれた結婚式が最高に恐ろしい。ひやあああ。こんな映画を撮る人が死んだなんてそりゃ大事件だわさとやっと気付いた11月なのでした。
上映後は、みなさん別の会場で上映するシュミット作品のレイトショーに向かわれたようだったが、空腹過ぎてフラフラだった私は大人しく帰宅。来週見ることにします。
ごめんなさい、寝坊やら寝坊やらでばたばたして時間がないのでとりあえずメモ。友人に強力プッシュされた大浦信行監督の『9.11-8.15 日本心中』を東中野にて観賞。感想は後日。
朝は、突然ジーンズマニアの姉から5本もジーンズが届く。有り難いけど、処理係にされてる気がしなくもない。
夜は、先日ゲットした派手なコートを、ただ披露したいがために大して寒くもないのに着てお出掛け。気がつけば全然知らん人がそのコートを着て私のカメラで写真を撮ってた。
ふん、どうせフィルメックスのチケット買い逃したよ。でも別に1年後とかでも見れるならいいもんね。それより公開中の新作の方が大事やもんね。だからクリント・イーストウッドの『父親たちの星条旗』を見に行くもんね。
公開からしばらく経ってるし平日の午後やしそんな混んでないやろうと思っていたら、観賞ツアーでも組まれてるのかおじいちゃんの団体客がいててびっくり。そして映画を見てその凄さにびっくり。そして自分の硫黄島に関する無知さにもややびっくり...。
硫黄島に上陸して日本兵と闘ったアメリカ兵の、主に3人の若者の物語(実話を基にした)。が、その3人や周りの出演者も含め、殆ど見覚えのないような地味目な役者しか出てこない。豪華キャストの『ミスティック・リバー』や監督自身が出てくる作品との違いに一瞬戸惑うも、有名過ぎる戦いや写真を巡る様々な出来事が無名の人たちによって演じられる=戦われるという関係に気付き涙。ラストシーンの美しさには涙々。隣りのじいちゃんも泣いてた。マッチョだあーだこーだと言えるのかも知れないけど、ここまで兵士と戦場に的を絞られたらマッチョになるのも仕方がないだろとは思う。戦争なんて阿呆な男が始めたもんですし。
なんか上手くいえない言えないけど、善対悪を否定するように、生対死の境界も色んな意味であやふやな生き方をせざるを得なかった人たちの切ない映画だなあと。だからか、なんか「素晴らしい!」とか手放しで騒ぐ気になれない。いや勿論十二分に素晴らしいですけどね。
若干生々しいシーンもあるけど(でも見る価値大の戦闘シーン)、「戦争映画って苦手~」とカマトトぶってる場合ではなく、少しでも時間があるのならとにかく見た方が、と言うより、06年中には見るべきな映画なんじゃないでしょうか。私も機会があればもう一度行きたいな。
それにしても、脚本のポール・ハギスは監督業に手を出さない方がいいよね。イーストウッドさんによる音楽は相変わらずかっこよくて泣かせる(音楽以外の音もいちいち聞き逃せない)。
本編終了後に『硫黄島からの手紙』の予告なんてやるもんやから「今すぐ見せろ!」と暴れかけ。が、予告の時点で既に渡辺謙と中村獅童には一抹の不安を抱かずにはいられなかったぞ。本編がちょっと怖いぞ。
藤原紀香よ、本当に、本当に陣内智則でいいのか?と、抱かずにはいられない老婆心を携え、オリバー・ストーン監督『ワールド・トレード・センター』を見に行く。監督にも内容にも興味ゼロ、いや、むしろマイナスやけどタイミングが丁度良かったもんで。
情けな顔のニコラス・ケイジ(老けたなー)が英雄扱いされるような内容やったら嫌だなあと観賞前から勝手にブルーになっていたのだが、そんな想像はかなりあっさり裏切られ。ただ、なんの事情も知らない警察官が勝手にWTCに入って勝手に埋もれて、その後2時間以上ただ埋もれっ放し、という、物語があるようでないような(多分ないな)変な映画だった。いくら実話を基にしてるとは言え、こんな作品が成立するのは観客が全員あのことを知っているという前提に作られてるんだなと思うとなんだか悲しくなるもんで、ケイジの顔に不覚にも泣いた。まさかマリファナ中毒歌舞伎町大好きオヤジに泣かされるなんて。
途中で突然出てくる海兵のおっさんのキャラが面白くて笑ってたら実在の人物と知ってびっくりした。久しぶりに見たマギー・ギレンホールが可愛くて良かった。
まあ、この映画を見て改めて9・11について考えるなんてことをする気にはならなかったが、けなす気満々だった気持ちはくじかれた感じ。いいことなのか悪いことなのか微妙。でもまあなんでも見てみるもんですね。
さすがにこれを見逃すわけにはいかぬ、とフィルムセンターの溝口健二監督特集に、『赤線地帯』(56年)を見に行く。平日の昼下がりだというのに満席御礼。今までなんでか見る機会がなく今回が初見。
売春禁止法が成立するかしないかの時期の娼婦たちの物語、で、群像劇っていうのかしら。とりあえず出てくる5人の女たちがみんな悲惨で滑稽で、泣いていいのか笑っていいのか、常に半泣き笑いみたいな変な顔で見てしまった。でもゆめこ(三益愛子)が橋の上で歌を唄いだすところでは涙々々。小暮実千代の夫婦の姿にも泣いたなあ。ラーメン食べてるところとか。もちろん自殺未遂のシーンもさ。京マチコと父親のやりとりにも泣いたなあ。町田博子の送別会でも泣いたなあ。と、結局泣きっ放し。そして、若尾文子の美しさよ。『祇園囃子』からたった3年しか経ってないとは信じられない女っぷり。気の強い役を演じてる若尾文子最高(『刺青』とか)。超うっとりしまくり。撮影は死ぬ程大変だったと先日のシンポジウムで話しておられたが。
映画自体も勿論、セットから撮影から音楽(なんか変わってたな)から、全てが素晴らしく、しかもまたこれが85分という上映時間で。個人的にはパーフェクトな満足感。よかよか。
が、ラストシーンが怖過ぎて本気で震えた。なんなんだあれは。こんなものを遺作にして死んでいった溝口健二、恐ろし過ぎる。
夜は、昨年に引き続き新宿にて酉の市。都会の祭りはやっぱり派手やねえ。
かなり出遅れて7月号の西原理恵子特集の「ユリイカ」を今更購入。彼女の作品は限られたものしか読んでないのだけれど、やっぱり「パーマネント野ばら」を読んでしまった者としてはなんとなく一応チェックしておきたいなと。
が、なんだか頭の良い立派な方達が書いた西原論に魅力を感じられず中々進まにゃい。本人&みうらじゅんと大月隆寛の対談が最高に面白いの除けば、今のところ一番良かったのは高須克弥(高須クリニック院長)の文章かも...。
で、読んでて驚いたのが、「ぼくんち」とか「ものがたりゆんぼくん」の世界をメルヘンとして捉えてる人が本当にいるんだという事実。あんなの、リアル過ぎるから泣けて笑える以外にどんな楽しみ方があるというんだ。そりゃそんな人たちが頭使って何を語っても惹かれないはずだわさと納得。
今後「女の子」という単語は西原理恵子以外使用禁止。
本日の予定は、大塚で中華ランチ→原宿で美容院→渋谷で映画、のはずだったのだ。午後原宿で美容院、までは調子よかったのに、それなのに、ちょっとしたイメチェンについ浮き足立ってしまいラフォーレになんか立ち寄ったのがいけなかった。いや、立ち寄るだけで、「さすがにラフォーレで買い物する歳じゃないわなあ」と思ってたまではよかった。それなのに、やっぱり可愛いもんは可愛い、で、好みの洋服たちにちょっぴりつられてしまい、で、若い子向けのブランドやからちょっぴりお値段も可愛いことにつられてしまい、で、平日の午後なのでお店がちょっぴり空き気味なのをいいことに1人で秋の大試着大会を開催してしまい体力消耗&何故か汗だく、そして数点お買い上げの結果荷物でか過ぎて移動する気萎えまくりってのがいけなかった。映画の予定をキャンセルしてそそくさ帰宅。私の映画への愛なんて所詮こんなもんなんです。なんかごめん。
それにしてもほんますごいなー、俺の物欲。なんか変なモンでも飲んだかな。買った洋服着て出掛けるような予定は皆無だというのに(今からクリスマスイブが日曜なことがかなりブルー)。
で、気がつけば何気に毎週見てる「のだめカンダビーレ」を今日も見る。松本人志の特別出演、あんなけ盛り上げといてあれはひどい!めっちゃ期待してたのにー。ぶー。
昼前、義兄を送り出すために起きたら天気が良かったので潔癖性の血が騒ぎ、洗濯やら部屋の掃除やら虎の絨毯(意外と好評)干しやらしてたら行こうと思っていた映画の時間が過ぎてしまい、がっくりしながら「ぴあ」をチェキると丁度タイミングが良かったので近所で『天使の卵』を見ることに。富樫森監督、『非・バランス』は見逃しているのだが他の作品は結構好きなので。
年下男子大学生と年上精神科医女性の切ないラブストーリー、とでも申しましょうか。時々クサ過ぎるセリフ(最初のラブシーンでの会話はいらんやろー)やクサ過ぎる演出(電車の中で初めて会うところとかー)があったものの、さすがの長回しには感心し、盛り上がりどころなはずの終盤を結構あっさり片付けるやり方には好感を持ち、ラストではまんまと泣いてしまった。まさか村山由佳原作で涙するとは自分でもびっくり。富樫マジックなのか。
デッサンや紅葉なんかの視覚的な効果も良く(その割には卵の存在が微妙だったが...)、大友良英の甘過ぎない音楽も良かったな。求ム、あと20分短尺。
市原隼人、相変わらずの子犬フェイスに全く裏のなさそうな爽やか感。惚れた。最後の笑顔がとても良かった。芝居がかった役者陣の中でよう頑張った。
小西真奈美、今までかなり苦手やったけど、ちょっと苦手くらいに変化。笑顔より黙ってる方が全然いいですね。眉毛が短か過ぎるのが腑に落ちないけど。
沢尻エリカは、髪を短くすると高島礼子にクリソツということが判明。何が魅力なのかやっぱりわからなかったが、やたらと頑張って走っていたので良しとする。
ポッキーの日の今日、キャリー姉さんにお誘いを受けて、江戸東京博物館に荒木経惟「東京人生」を見に行く(招待券ありがとうございました)。
初めての両国駅でちゃんこ屋の多さに驚き、初めての江戸東京博物館の建物の大きさに驚き、館内のスペース有効活用だか無駄遣いだかよくわからない構成に驚きながら展示スペースに辿り着く。
「さっちん」から現在までの東京で撮られた作品が大量に展示されており、こんなにまとめてアラーキーの作品を見ることは初めてだったのでただただ圧倒される。やっぱりこの人の撮る何気ない写真がとても好きだなと改めて感じる。
場所柄、過激な写真はNGだったらしいのでヌード作品などは皆無だったのだが、最後にまとめられてた女性の顔写真のカラー作品がエロくてドキドキした。
観賞後は、ミュージアムショップで騒ぎ、博物館限定プリクラで騒ぎ(使いこなせな過ぎてやや悲し...)、ちゃんこを食って騒ぎ、人生初の岩盤浴を体験して毒素を排出して騒ぎ、ビールを飲んで毒素を注入して騒ぐ。女子万歳な休日だったのでした。
そして深夜に突然の義兄来宅。
やっぱり、いくらめでたい席だからって2日連続朝まで飲むのは心身共によろしくないですね。反省。うこんの力パワーで二日酔いはないものの、今日は家で一日おとなしくしている。
一念発起して洋服を秋物から冬物へ汗だくになりながら衣替え。あまりの冬服の量の多さに自分の買い物癖を大いに反省。
午後起きて、何気なくTVを付けたらWOWOWで丁度『グロリア』(シャロン・ストーン版じゃないよ)が始まるところだったので、ついつい最後まで見てしまう。学生の時シネセゾンのレイトショーで見て以来か。
ラストでだーだー涙流しながら、私はどうやったらジーナ・ローランズになれるのかという重要な命題について思考し、とりあえず、寝ころんで胸の上に灰皿置いて煙草を吸ってみるが意外と大変だった。
祝!中原昌也さん野間文芸新人賞受賞!!ということで、お祝いの席にかけつける。軽々とセクハラの域を越え、ただの人権侵害としか思えない発言続発だったが、めでたい席なのでよしとする。うん。
実は一週間前、前日朝の5時まで飲んでしまって翌日の診察すっぽかす、という大チョンボを通院7年目にして初めてやってしまったのだ。なので今日「一週間勘違いしてました♪」とお茶目な嘘をついてなんとか診てもらう。ほっと安心、したのも束の間。難病認定証がまだ届かないため検査代&薬代で2万もかかってかなりブルーになる。はあ。
江原啓之の新刊『A・NO・YO』の車内広告にクギづけになりながら地下鉄に乗って京橋に移動し、フィルムセンターへ。
溝口健二監督『我が戀は燃えぬ』(49年)。女性解放運動の先駆者である影山英子の自伝的映画、だが、出てくる男たちがあまりにもろくでなし&最低で、ひど過ぎて泣けてくる。しまいには「この女(主人公)男見る目なさ過ぎんじゃねーの」と腹さえ立ってくる(田中絹代の顔がなんかそう思わせるのよ)。ラストは、あれはハッピーなのか、一応。その後を想像するとなんかまだ色々ありそうで辛くなるけど。
映画自体は、84分にまとめられてるとは思えぬ濃度の濃さで、物語も人も動きまくってるのを必死で見てたら突然女郎部屋(なのか?あれは)の怖過ぎる画(なぜか女が逆さ吊りにされてたり布団に巻かれてたりする)刑務所のひど過ぎる仕事(女優が顔隠されて裸足ですごいことしてるの。見てみて)が出てきたりで全く油断ならない。最近のムダに長い日本映画に辟易している私には大変に満足しまくりな映画なのでした。
上映後は、映画監督井口奈己さんのトーク。映画監督溝口健二についてというより、ほんとに『我が戀は燃えぬ』について熱く語られる姿勢に納得&勝手に共感。もうちょっと長く聞きたかったっす。
勉強熱心な映画好きの方々は今日は日仏学院に行かれたんでしょうけど、反抗期真っ盛りの私は敢えてアテネ・フランセへ行ったのさ(結構混んでたけど...)。ジャン=マリー・ストローブ&ダニエル・ユイレ(今年10月9日に死去された。合掌。)監督特集。新しめの作品は幾つか見てるんだけど初期のは殆ど未見なので。
『アンナ・マグダレーナ・バッハの日記』(67・68年)。バッハ後期の伝記、だけど、9割演奏シーン。その演奏&演奏シーンも大変素晴らしいのだが、たまに現れる女性の姿とかお金に関する会話とかが非常にスリリングで、そのバランスに悶える。
『花婿、花嫁、そしてヒモ』(68年)は23分の短編映画。演劇の舞台が延々映されていると思いきや、突然それが現実と繋がりだす。が、物語とは無関係の、冒頭の車窓からの映像&突然流れる音楽で早々にノックアウトされる。
『オトン』(69年)。17世紀に書かれたの政治的な物語、だけど、演じている場所は思いっきり現代で、「あの皇帝があーだこーだ」とか言ってるすぐ下で車がガーガー走ってたりする。字幕が読みにくくて(白い画面に白い文字はいや...)途中でストーリーを見失うも(ごめんなさい...)、画面を眺めてるだけで「ああ今私映画見てるなあ」的快感に浸れる。幸せ。
こういう映画って、ストローブ=ユイレのスの字も聞いたことない人が見たらどんな風に感じるんだろうといつも疑問を抱くのだけれど、スの字を知ってるからと言って私に何かがわかってるわけでもなく、だから誰が見ても面白いんじゃないだろうかと思うので、みなさん一度この機会に見てみてはいかがでしょうか。ただし、絶対に途中で寝ないという自信のある方。寝てしまった!という苦情は受け付けません。
11月3日の日記で「役者である安藤昇の顔がカタギに見えない」と書いたところ、友人から「安藤昇は本物のヤクザ兼俳優ですよ」とのご指摘が!詰めの甘さ露呈しまくりでお恥ずかしい限り。すんません。ヤクザの娘(他称)失格ですね。
いやしかし、さすがにあの顔の傷は役者としてあまりにも役の幅狭過ぎるやろとは思っていたけれど、まさかモノホンとはねー。そりゃ映画も締まるわけだわさ。公式HPを発見したので見てみたが、会員制なので詳しくは内容わからず...。気になるけど会員になる勇気はなく...。誰か入会してみて下さい。
本日はgojo宅にて女だらけのパン祭り。引っ越し以来自粛していたパンのバカ食いを久々に出来て満足満足満足。
夜、WOWOWで『ふたりはクギづけ』を久しぶりに見る。あかん、やっぱり最高すぎるわこの映画。
特にこだわりがあるわけでもなくただ機会がなかったという理由だけで今までちゃんとした活弁付き無声映画を体験したことなかったワタクシ。今回のフィルムセンター小ホールの特集がいいチャンスだわと行ってみることに。
溝口健二監督『滝の白糸』(33年)弁士は澤登翠さん。こんな私でも名前くらいは知っている有名な方。ただ活弁するだけかと思ってたら上映前にちょっとしたトークもあったりして新鮮。
映画は、序盤の白糸姐さんと欣弥が運命的な再会を果たす夜の橋での長いやりとりが、幻想的な映像と白糸のなんだかいじらしくて可愛い動きや話し振りに「あら素敵な恋愛映画」なんて胸キュンしてたら、それ以降ひたすら堕ちて堕ちて更に堕ちて、最終的には「もうやめてー!」と叫びたくなる程の悲劇になる、ものすごい裏切られた感有りの名作。一度しか会ったことのない男に惚れ抜いた女の物語。切ない。でもそれが、状況が悲惨になればなるほど主演の入江たか子が美しく見えて、2人が最初の橋以来の再会を果たす最後の牢獄に入ってるところの柵越しの横顔なんてサブイボものの綺麗さ。女優って怖いですね。いや、女優にこんな顔させる映画監督って怖いですね。大ホールでの溝口特集が楽しみなような恐ろしいような。
活弁は、思ってたよりずっとすんなり耳に入って面白くて良かった。弁士さんによってだいぶ違うものらしいですが、やっぱりベテランの方だからなのかなんの不安も感じず安心して聞けました。たまにはいいものですね。あと、映画の中で初めて水芸というものを見てちょっと感動した。
見た過ぎる映画を見るのがなんだか怖くて上映終了ギリギリまで引っ張ってしまう悪い癖(それでたまに見逃したりする...)を克服すべく、時間も場所も丁度良かったので、急遽侯孝賢監督最新作『百年恋歌』を今のうちに見ていくことにする。
もう、ねえ、期待通りとか想像以上とかじゃなく、冒頭のファーストカットを131分間続けられても私は文句言わないよ、まじで。が、そんな魅力にも溢れまくりつつ、でもそんなところじゃ収まらない。
時代の違う台湾(11年66年05年)を舞台にした3話のオムニバス映画(順番は66→11→05)。でも主演の男女は同じ役者が演じているという形式の作品で、どれが一番良いとかの問題じゃないのは重々承知ながらも、死ぬ程捨てがたい要素を考慮しつつも、個人的に最も度肝抜かれたのは3話目(この3話の関係の微妙さとかも、考えだすとすごいことになるけど割愛)。
1話目の『風櫃の少年』的な空気の中でのかわい過ぎる恋愛も、2話目の『フラワーズ・オブ・シャンハイ』的な無声映画(じゃないけど)の大人な恋愛もモチのロン興奮しまくったけど(特に1話目のラストとか、今時相合傘で本気で泣かすか!)、やっぱり、60近いおっさん監督(しかも若い時はかなりワルだったっぽい)が今の時代にこんな男女を主演にした今の恋愛映画が作れるってのは、いくら奇跡を呼ぶキャメラマンを相棒にしてるとは言え、他にはいないと思う(日本の監督なら絶対ラストにワンピースとか着せるぜ)。勿論それは若い人が撮る今どき感とはまた全く違うモノやし。すごいよホウさん。
それにしてもああ、スー・チーのあの顔よ、あの声よ。個人的に大好きな『ミレニアムマンボ』、やっぱりシネマヴェーラで見直しとけばよかったなー。
久しぶりに上映中に絶対もう一回行こうと心に決めた映画。サントラ買い逃したし。しばらくやってるみたなので、お時間のある方は見てみたらかなりよろしいかと思われます。
以前にも一度書いたけれど、熊澤尚人監督『虹の女神 Rainbow song』にエキストラとして参加した、が、全く映ってはないらしい。
まあそんなことはどうでもよく、熊澤監督の作品は見たことがないのでどんな感じなのかしらんとチェキりに行く。プロデュースの岩井俊二は、あまり得意ではない(露出の仕方が好きじゃない...)。
学生時代から仲の良い自主映画仲間だった男女(市原隼人&上野樹里)がお互い就職して色々あったりなかったりな恋愛ドラマ。時々やたらと映画製作に関する表現が細かくてなんかおかしいこと以外は「ああ、桜井亜美」的なお話。
演出的にも突飛なことをするわけでもなく、意外と(?)まっすぐな映画なことに好感を持つ。が、いかんせん長過ぎる。この物語で112分はいらなかった(ラストの8ミリ作品を全部見せるとか、理由が分かんない)。最近こういう日本映画が多いなあ。
主演の2人、ちゃんと芝居してるの初めて見たけど、よく考えると全く好感の持てないキャラクターを上手い具合に演じてて良かった。上野樹里の姿勢の悪さとか全身からみなぎる野暮ったさとか、狙ってやってるとしたらすごい女優かも。市原隼人の軽さもお見事。
出番が多いわけではないけれど、相田翔子には驚く。笑顔が悲しくて泣ける。そして蒼井優。相変わらず可愛いし、見てて「実はとんでもなく頭の良い人なんじゃないか」と思わされた。自分のやるべきことを色んな意味で冷静にわかってそうと言うか。
それで、あの、超個人的且つ細かいことなんですけど、私はエンドロールの最後で「監督 ◯◯(←監督名)」を止める人があまり好きでないのと同様、映画の冒頭に「a ◯◯(もちローマ字)film」と出すのも苦手かも、と気付く。
夜、BSでCoccoのライブを少し見る。トーク時のハラハラ感は相変わらずだけど、すごくいいステージだっただけに、彼女以外のメンバーが全員男性なことがなんだか悔やまれた。
チケット売り切れるの早いよフィルメックス!あほ!!
と独りごちながら、ラピュタ阿佐ヶ谷へ向かう。瀬川昌治監督特集、休日はさすがにお客さん多め。9割9分おじさん。
『密告(たれこみ)』(68年)。映画開始と同時にアップで出てくる安藤昇の、役者と分かっててもどう頑張ってもカタギに見えない面構えにドキッとしたと思ったら、その数秒後の、車が突然トンネルに入った瞬間の映像にしびれまくって、そのまま90分間しびれっ放し。めちゃくちゃ面白い喜劇を撮る人が、めちゃくちゃかっこいいハードボイルドな映画を撮るなんて。すご過ぎる、瀬川監督。
出所したてのヤクザが自分が刑務所に入るきかっけになった事件を警察に密告した相手を探す復讐劇、と言えばよくある話のようだけど、とにかくまあ色んなことがかっこE。砂利置き場でのダンプカーいっぱい対人間の抗争(殺人と死体の捨て方にまでうっとり)、霧がかった林の中で子どもを抱えながらの銃撃戦、そんな中で秘かに進んでいく無言な男女の複雑な恋愛物語。大人だ。始めは怖過ぎた安藤昇も、目のアップだけで物語が進んでいく芝居に感動。
結構お歳を召してらっしゃる瀬川監督、でも新作を撮るだとかテレビドラマを撮るだとか、素敵な噂がチラホラ。その実現を流れ星に願う。
夜は、新大久保にて美味しい韓国料理を食しながら、オンモの愛に包まれる(マジ泣けた)。「シャンプーはLUX!リンスは不要!」という教えまでご教示頂く。
ああ、ついに始まってしまったフィルムセンターの溝口健二監督特集。これのせいで、秋は温泉でも行こかないや京都かなやっぱり大阪で入院中の友だちのお見舞いかななどの夢も脆くも崩れる。Mちゃんごめん。
夏目漱石原作の『虞美人草』(35年)。意外なのかやっぱりなのか、えらい混んでた。潤色で伊藤大輔。潤色って何や。ストーリーが全然原作と違うってことはわかったが。
映画が始まってまず、復元されたと言うフィルムのキレイさに感動。こんな古い作品なのに傷とか一切ないのな。すごいのな。誰にか分からんけど、なんとなく感謝。
最初気持ち悪いくらい明るく仲良しだった父娘が、後半娘が婚約者に裏切られ、部屋で2人で泣きながら落ち込むシーンの暗いこと、そのギャップが怖過ぎてびびる。ラストの海!男!女!に圧倒される。
若き日の三宅邦子が想像以上に野暮ったくてちょっとショック。でもこの人好き。主演俳優(月田一郎)が美し過ぎてどうかと思う。
で、たった今解説を読んで、三宅邦子が自殺するシーンが存在したと知って衝撃受け中...。結婚出来なかったからって死ななくてもー、と思ってしまうが。
某コンビニで、クロワッサン型メロンパンというものを発見しその完璧さにしばらく見とれる。が、クロワッサン型になったら、以前から怪しかったメロンパンのメロンの意味がますます分からなくなり、買うのをやめてしまう。
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