思ったより通えなかったことは心残りだけど個人的加藤泰ラストを飾って頂く『炎のごとく』(81年)のため珍しく昼からシネマヴェーラさんへ。
147分の超大作、見てるだけでこっちまで血管切れそうになる菅原文太の濃い男気、今まで見た中で一番の女への熱い愛、しかと受け止めさせて頂きました。親分への忠誠と女への真剣な想いのどっちが大事かと問われ当たり前に女だと答える仙吉の姿がかっこよ過ぎて泣けた。ただ、興味がなさ過ぎて全然詳しいことを知らない新撰組がここではだいぶエロと卑怯者集団みたいになってたけど、いいのかな。若き日のトミーがえらい可愛かった。以前から大好きやったけど倍賞美津子、この方の声のハスキーっぷりも中々すごいよね。
夜は原宿のえらくオシャレなカフェで開催された歌人枡野浩一さんの「くじけな」出版記念イベントに。枡野さんと面識があるわけでも短歌に興味があるわけでもないのだけれど、そこで上映されるという劇団ハイバイの「金子の半生」という映像作品と杉田協士監督が製作した朗読映画「くじけな」を見たくて。30分強の舞台をワンシーンワンカットで見せる「金子の半生」、さすがに滅法面白く大変気に入ってDVDまで購入、「くじけな」も、朗読映画だと言うのに朗読そのものよりも出演してる枡野さんの姿が印象的な不思議映画でよかったです。みなさまのトークも「ほんと笑い声目立つよねえ」と言われながら楽しく拝聴。傑作なんてそうそう生まれないというお話。

最近色んな場所で「日記読んでます!」と仰って下さる方の、だいたいが無職だと判明。別にいいんだけど。

と週末バタバタしたので月曜は映画はパス、だけど夜な夜な吉祥寺バウスシアターに行ってDOOM! 主催による生放送ネットラジオに出演してみた。誰でも参加可能!とのことだったのでほんと遊びに行く感覚だったのが気付けば周りはboid の樋口泰人さんや湯浅学さんや空族の富田克也監督と相澤虎之介さんその他役者さんや有名本屋さんやとやたら豪華なメンツで、みなさんのお話を聞いてひとり酒灼け全開の声でゲラゲラ笑ってるうちに深夜二時になっていたのでした。
IMG_1131.JPG  
アーカイブなどない一回きりの放送だそうな。樋口さんの将来の夢はお金持ちになることだそうです。

そして翌日も吉祥寺に向かい今回の爆音映画祭で一番見たいと思っていたホウ・シャオシェン監督『ミレニアム・マンボ』(01年)を。
10年前の公開当時この映画に出会ったとき異様に興奮したことをはっきり覚えていて、それ以降ずっとホウ監督作品の中でも一番好きかもぐらい心のマイベストだったのですが、今回久しぶりに映画館で見直してみて、確かにもの凄い作品だし爆音で響く低音にも痺れまくったのだけれど、一体10年前の私はこの映画の何にそこまで惹かれてたんだろうと思ってしまった。2011年の今ではちょっとこれを好きですと公言するのは恥ずかしいかもしれないくらい、私にとって予言の映画であった。めちゃくちゃ動揺した。ホウさん怖い。

金曜日は、五反田にて劇団ハイバイの「七つのおいのり」を鑑賞しました。相変わらず面白かったです。口元が性器似ネタがツボ過ぎて未だに思い出し笑いをしてしまいます。
土曜日は、有楽町にて開催中のフランス映画祭で上映されたオタール・イオセリアーニ監督最新作『Chantrapas』を鑑賞しました(一般公開は来年二月だそうです)。監督の自伝的映画というこの作品が素晴らしくないわけはなく、タバコを吸い無銭乗車する子どもたちの姿にただただ心を打たれ感動したのですが、上映終了後に行われたトークイベントで陽気に歌声を披露するイオセリアーニ氏を眺めてたら私は自分の人生でこれ以上理想の男性に出会うことはないんじゃないかと思えてきてちょっとブルーになってしまったりしました。今日知った清順監督のニュースにだいぶ励まされました。
日曜日は、寝坊だとか時間の勘違いだとかサザエさん的紆余曲折を経てギリギリ辿り着いた吉祥寺にて開催中の爆音映画祭でワールドプレミア上映された富田克也監督『サウダーヂ』 を鑑賞しました。普段映画館で見かけないような若者層で超満員の熱気の中イヤでも盛り上がるテンションを抱えての167分は意外な程あっという間で。山梨の甲府という日本の片隅で生きるしかない土方とラッパーとブラジル人とタイ人が、特に交差するわけでもなくただ唄ったり喋ったりする姿が繰り返されて積み重なってどうしようもないことになって。わかりやすい物語があるわけではないその時間、シャッター街をひとりラップしながら歩いても誰にも伝わらない、掘って掘って掘りまくってもブラジルなんかに辿り着けない。あの宮台真司にはさすがに笑った。でも77歳のおじいちゃん監督がグルジアで人魚と姿を消した翌日、日本の若者は縛られた両手を笑顔で振りかざしている姿を目撃、なんかかっこよくていいじゃないのとひとりでにやにやした。でも上映後打ち上げの席で中原昌也氏に「この映画最大の悪者はこの女だ!」と罵られてもその通り過ぎてまったく反論できなかった。秋頃渋谷ユーロスペースさんで一般公開予定なのでその際は是非みなさまも確認しに見に行ってみて下さい。

昨日は善人しか出てこないような映画を見て辟易したところに、今日はヘルツォーク傑作選 なんかに行って本当に狂人しか出てこない映画を見てしまい、心身ともに異様に消耗する。めっちゃ面白かったけど。
ヘルツォークは『バッドルーテナント』くらいしか見たことのない不勉強者なのですが今回初めての『アギーレ/神の怒り』(72年)、一応鎧を着た男たちが登場してるから時代劇のコスプレものなんだろうけど(ゴージャスなのか安っぽいのかすらもわからない)もうそんなことどうでもいいくらい、アマゾンの奥地にしょぼい筏に乗ってただ向かう、そりゃこんなことしてりゃ食人族に遭遇してもしなくても頭おかしくなるだろうに。基本的に動物は大好きだけどこんなに猿が気持ち悪く見えたのは初めてだった。
そして色々噂を聞いていた『小人の饗宴』(70年)も、噂通りすごかった。いい歳した小人しか出てこない映画なうえ、小人たちの悪さマジ半端ない。施設の先生に向かって石は投げるわ放火はするは盲人をおちょくるわニワトリ放り込むわ足の届かないバイクに乗るわ。でも女の子といちゃつきたくてもベッドが高くて乗れない。その背後に響くチャッキーのような笑い声。見始めはさすがにちょっと驚いたけどだんだん見てて愉快で爽快な気持ちに。楽しかった。最後に突然現れるラクダの意味はまったくわからなかったけど。
と、かなりおかしな監督特集にも関わらず場内はほぼ満席&やたらと可愛くてオシャレな女子率高し。女子トイレでひとりきょどってしまった。みんな色々あるのね。

まあレディースデーやし近所でやってるしで見てみるかと超上から目線で是枝裕和監督最新作『奇跡』を。
私、この主演の少年ふたりが漫才コンビって全っ然知らなかったんで(蓮實先生の文章で初めて知った...)既にどれくらい評価されてるのかもわからないんですけど、確かにこの子たちの存在は良かった。特にお兄ちゃんがひとりでいるときの表情は。それだけ。以上。
いやこの映画って大々的な九州新幹線のCMなんだった、それなら十分それ以上でも以下でもない作品だとは思いました。あの「奇跡」が起こる直前の展開、15秒のイメージショットでわかりやすく「世界」を見せてるんですよね(あれさえなければまだ...)。それ以外の127分は何がしたいのかよくわからなかったけど。
って言うかね、違うの、劇中で少年たちが大人に内緒で旅に出るための費用を捻出するのに本やオモチャを売り歩くシーン(が特に事件が起こるわけでもなくダラダラ続く)があるのね、それに対して犯罪になるわけじゃあるまいしとっとと親の財布からパクれよと思ってしまう私は一生是枝監督の映画を理解できないし向こうもして欲しくないと思うの。あと野宿ぐらいしろよとか。この子たちいい子過ぎる。少年少女の冒険談にしては大事なところで毎回簡単に大人が手助けし過ぎやし、こんな世界の思い通りに成長してればそりゃ奇跡も起こるだろうよ。『まほろ駅前...』は悪くなかったくるりの音楽も今回はかなりウザかったなあ。文句ついでに、男子には小学生のときから自分で食器を下げる躾はした方がいいと思うよ。大人になってから付き合う相手が迷惑するから。
そんな本日の一番の収穫は、夏場ネイルサロンの後に間髪入れず映画館に行くと体が冷えて女子の健康によくないと気付けたことです。みなさまも要注意。

原作小説が好きな映画って見る前にちょっと不安になったりするのですが今回は特にそれが大きかった廣木隆一監督『軽蔑』 、最初はやっぱりキレイな男女のバックに流れるオサレな洋楽やキラキラ光る新宮の海と路地にだいぶ動揺してしまった。でも途中から、映画は中上健次とは別のものなんだと思ってみると、なんだか懐かしい感じのする可愛い青春映画に見えたのでこれはこれでいいのかなと。それでも136分は長いよと感じたけど(節電なのか劇場が微妙に暑くて難儀した...)。
とにかく高良健吾が軽い、この軽さは一種の才能なんじゃないかってくらい軽い。一歩間違えたら田舎のボンボンがハタ迷惑な反抗期を迎えてるだけの映画に見えなくもない。文字通り体を張って頑張りまくっていい芝居をしてる鈴木杏が相手じゃなかったらだいぶしんどかったかも。大森南朋が西のヤクザにまったく見えない(いっそムラジュンの方がよかったんじゃないか?)のも父親の小林薫が中途半端な存在感なのも杏ちゃんが良かったからなんとか。彼女の声が高くなくてよかった。久しぶりに、撮影大変そうやなーって感心する強引な長回しを見た気がした。そうそう、ちょい役やけどやっぱり忍成修吾はいい役者だった。

金曜は、見よう見ようと思っていたのに最終日になってしまった山本政志監督『スリー☆ポイント』をレイトショーにて。
ミクシーやツイッターで監督が色んな人に呼びかけ「超インディーズ宣言」して作られたというこの作品、確かに一般的に想像される映画とは全然違うすごく変わったものになってたけど、大変面白く楽しく拝見。内容は一応京都と沖縄と東京を舞台に三つのパートに別れてるんだけどそれが特に内容的に繋がってるわけでもなく突然ドラマが始まったり突然ドキュメンタリーが始まったり。京都編の劇中でほんとーに悪そうなB-BOYたちがずっとヒヒップホップをやってるんだけど、映画そのものがやんちゃな不良が本気で作ったヒップホップの音楽のようでかっこよく。50を過ぎた監督さんがこんなものを作ってるんだから若者たちはスピッツを流してる場合じゃない。
初めてちゃんと見た蒼井そらが可愛くてびっくり(以前TVで大沢あかねが間違えられたと怒ってたけど全然こっちの方がいいし)、ムラジュンも最近の中では一番良かった気がする。まさか青山真治監督の股間のアップがスクリーンで見れるとは思わなかった。
で土曜はその青山真治監督が演出した舞台『G.G.R〜グレンギャリー・グレン・ロス』 を観劇しに雨の天王洲へ。登場人物たちの名前が横文字だったためもちろんすぐには覚えられずあたふたしてしまったが、ひたすら生で感じる舞台俳優さんたちの声の凄さにあわあわ圧倒されっぱなしの二時間でございました。見ててイライラする人物なのにそれでも坂東三津五郎がかっこ良過ぎてくらくらした。
そしてこの二日間の夜は退院後初の連続酒になってしまい日曜はさすがに撃沈。病気と年齢には抗えないわ〜、って、当たり前か...。

本当に、誰から招待されたわけでもないのに面白いと噂の映画の試写にしゃあしゃあと潜り込んでみたよ、大畑創監督『へんげ』
どんな作品か全然知らずただ賞賛の嵐な評判だけを聞いての鑑賞だったのですが、確かにこれは、完全に自主映画として作られた映画とは思えないスケールと迫力と、監督の前作『大拳銃』を拝見したときにも思ったけれど映画を撮るのが上手い人なんだなと感心で、面白かったです。内容を上手い感じに伝えるのが難しい作品だけど、見ながら何となく思い出した映画は『鉄男』と『ポゼッション』。主演の森田亜紀さんが素晴らしい。男がへんげして大変なことになったとき、ちらっとしか映らないけど性器もばかでかくなってたのが良かった。公開などは未定だそうですがどこかで上映する際には見てみて下さい、なんかおかしいから。
と勝手に見といて勝手に満喫しといてアレなんですが、でもこういうベタで派手で面白い映画を自主映画で撮るって未だにちょっと意味わかんないこれならメジャー映画でいいじゃんと思ったりもしたのですが、今はもうこういう企画はメジャーでは通らないんだよと聞いてなるほど色々難しいなあって話を上映後篠崎誠監督と佐々木浩久監督と一緒にめちゃくちゃ美味しいホルモン焼きをしこたま食べながらお話したりしたのでした。めっちゃおもろかった。

そろそろ連日満席の熱も収まったかなとダーレン・アロノフスキー監督『ブラック・スワン』 に行ってみたら余裕で座れたけど平日の昼下がりにしては多めの客入りでウチのyonjoも興奮してたしああ本当にヒットしてるんだなってことはわかったけど監督の前作『レスラー』にも全然乗れなかった派としては今回もどーなんだろと見る前から半信半疑だったのですが見てみてやっぱりどーなのこれと。
有名バレエ団のダンサーが「白鳥の湖」のプリマドンナに抜擢されて大喜びするも上手く演じられない自分や母親はじめ周囲のプレッシャーに耐えられずだんだん正気を失っていく様をまるで主人公の視点のように動き回るカメラ(寝不足気味だったのでほんまにちょっと気分悪くなった...)と衝撃的な映像で見せてくれます。それが面白いとかつまんないとかじゃなく、まず本当に、カマトトのメンヘル少女が泣こうが狂おうがそのことに興味が持てないもんだから困った。びっくりするくらいどうでもいい話!そして、いくら狂人の感覚を一人称で見せられたって所詮は監督や脚本家が考えたものでしかないだろうに、こんなに体を張ってもその枠からは出させてもらえないナタリー・ポートマンが不憫だった。まあミッキー・ロークもそうだったけど。ジーナ・ローランズは狂気のメルトダウンしてたよ(ごめん)。ぐらいでしょうか。初めて「白鳥の湖」のストーリーをちゃんと知れたことは嬉しかったです。
ただ、優等生の女の子がオナニーばっかりしてる映画がこんなに受けるってのはまた別の問題を孕んでる気がした。これがセックスに目覚めるとかだとまた違う反応になるんじゃないかしらん。

元々大した興味がなかったのに帰宅直後にWOWOWで放送してた『SATC2』の4度目の感動がでか過ぎて細かな内容を既にほとんど忘れてしまった山下敦弘監督『マイ・バック・ページ』 ですが、HPに載ってる監督のインタビューを無理矢理要約して引用すれば「69〜72年という時代を再現するのではなく、全共闘を経験した若者たちの青春の終わりを、斜に構えず、小細工なしで描いた」らしいのですが、不思議なことに、斜に構えた小細工だらけの山下監督作品に見えてしまったのでした...。とりあえず、長い。役者がみんな芝居溜め過ぎでそれを長回しで撮ったら141分になりましたってのは見てて疲れるだけやからからやめてほしい。
って言うかこれは私がこの時代の歴史や背景を全然知らないし知ろうともしてないからなのか、青春とか闘争とか以前に本当に単なる甘ったれのバカにしか見えない主人公がチャラいペテン師にまんまと騙されたってだけの話にしか感じられず、ブッキー演じる新人記者が先輩に「お前はものごとを安全圏から見てるだけ」と噛み付いたり上司に「学生新聞作ってんじゃねーぞ!」と怒られたりしてたけど、それってこの映画にそのまま当てはまるような...。人ひとり殺しといて男泣きだけでオチつけられても。それでもそこそこコンスタントに新作を撮ったりファンが多かったりするのは一見まとまって深い意味がありそうな安心感は相変わらず、まさに近藤龍人カメラによるスピッツ効果が今回も大音量で流れておりました。
川本三郎に興味があるわけじゃないけど「マイ・バック・ページ」がらみのものならnobodyに載ってる梅本洋一さんの文章がよかったです。映画には『サン・ソレイユ』は出てこなかったけど...。

お客さんの9割が地味目な若い男子だったのでええ映画獣さんたちそんなにこの映画に注目してたのと一瞬驚くもいやこのキャストならアイドル獣さんたちかととりあえずは納得した長崎俊一監督『少女たちの羅針盤』 なんだけど、映画自体には納得したような出来なかったような、なんか不思議な作品だった。
基本的にはとある殺人を巡るミステリーだけど映画の大部分は誰かの回想なのか演劇に励む女子高生たちの物語で、成海璃子をはじめ実力のある若手女優4人の真っすぐ過ぎる瞳と髪の毛が眩しい青春映画、なんだけど、不意に現れるミステリー部分が半端なく怖かったり劇中の演劇シーンが半端なく真剣だったり、あまりにもシーンによって変わるテイストに一度で二本の映画を見てるような感覚、だいぶ戸惑ってしまった。それが面白くないってわけじゃないんだけど、せっかく主演の4人が素晴らしくキラキラしてる高校時代をあの時間だけで終ったものにするのはもったいない気がしたのでもうちょっと上手い具合にふたつの世界が繋がっててもよかった気がしました。同性愛とかリスカのエピソードも、なくても彼女たちが喋ってるだけで十分だった気が。えらい逞しく育った璃子クンもこのまま美しく成長してほしい草刈麻有クンも初めて見た森田彩華クンもみんな感心する程良かったけど、私、忽那汐里がだいぶ好きだわ。声の低さがたまらん。
本編とは全然関係ないけど、 女子高生たちが夕陽に向かって「沈むなー!」と叫ぶシーンで妙にどきっとしてしまった。いつから夜が待ち遠しい人間になってしまったのだろう...。酒量を控えると映画量が増えるという事実に今日初めて気がついた。

総選挙だかなんだか知らんけど、とにかくAKB48に興味が持てないのはあの公立っぽい雰囲気が無理(幼稚園から大学まで私立出身なもんで)。

やっと飼い猫の鼻炎が落ち着いてきたと思ったら飼い主の結膜炎が再発したりして、地味に厄年実行中。でもふらっと近所に見に行ったジョージ・ノルフィ監督『アジャストメント』 が想定外に面白かったのでまあいいや。
フィリップ・K・ディックが原作と言うからガチガチのSF映画(&揺れまくるカメラ)を想像してたんだけど、冒頭、若手政治家の主人公が男子トイレで謎の美女と出会うシーンの出来の良さ(後半の女子トイレに主人公が現れるシーンも中々)になんや大好物のラブストーリーかと合点。原作ファンの方がどう感じるかは微妙だけど、その後もそのふたりのドラマがメインで進むんだけど、ひとりでめっちゃキュンキュンしたんだけど、でも、基本的には運命と偶然を巡る物語が風に飛ばされた帽子ひとつで左右してしまう映画の主演がマット・デイモンって、ねえ。これでもかってくらいドアを開けたり閉めたりすること(だけ)で人生と闘うマットは今回もかっこいいんだかただのおっさんなんだかよくわからない存在感で、やっぱり私を裏切らなかった。相手役のエミリー・ブラントという女優さんもほぼ初めて見たけど鍛えられた体が美しく。世界を管理してるはずの調整役アジャストメントが微笑ましいくらいおっちょこちょいだったのは気の利いたギャグと受け止めた。ちょっと拍子抜けするくらいまるく収まってしまうラストも個人的には好みで、これがデビュー作というジョージさんの今後に期待。

ふらっと立ち寄ったギャルショップでオシャP風店員たちに囲まれ「おねーさんなんかちっちゃくて可愛くないですかー?!」と騒がれさすがに軽く動揺してしまった31歳は本日もシネマヴェーラさんで開催中の加藤泰傑作選に行ったとさ。
当たり前に、『みな殺しの霊歌』(66年)のもの凄いモノクロ画面と不幸せな若い男女の長い会話とデカたちのやりとりがたまらなくかっこよかったのですが、謎に包まれた連続強姦殺人事件の真相が、熟女に集団で弄ばれた青年がショックのあまり自殺して身内でも友人でもない男がその仇討ちを実行してたという脚本の展開に対する衝撃が大き過ぎて。男女逆なら映画でよくありそうな話だけど。結局はサイコなのか人情なのかそれすらもよくわからず、自分の男心の不勉強さを恥じた次第。
念願の『男の顔は履歴書』(66年)も、まったく医者に見えない安藤昇に衝撃を受けながらも、いやー三国人ってレイプから拉致から殺人からほんと悪いことする奴らセヨーと感心しながら、泣いた。敗戦直後日本への復讐に燃えるアジア人ヤクザとやられっ放しの日本人と寡黙で正義なお医者さんの現代と過去を巡るガチンコ過ぎる世界が、個人的にも色々感じることもあり、今見れてよかったなと思いました。菅原文太が狂ったように暴れまくる朝鮮人の役を演じるってのもすごい時代だなと思ったけど。超大切なオペの直前にエロ映像を思い返す男心はわかるようなわからんような。それにしても加藤監督は女を縛るのがお好きなようで。

もうこうなったらいまおかしんじ監督のジョナサンに対抗するくらいキリンシティに通ってやろうかと思っている今日この頃。

もちろん、加藤泰と加藤鷹を聞き間違えた過去(結構最近やけど)を持つ私がどう頑張っても榮倉奈々クンにはなれないと重々承知しつつもついシネマヴェーラさんで始まった加藤泰傑作選に行って『日本侠花伝』(73年)を見てしまって、泣いてしまった。
頼りない坊々男と駆け落ちするも失敗し身投げしたところを助けてくれたヤクザの親分と結婚した若い娘が立派な姐さんになるのだが実はそれはそれは哀しいラブストーリーで、 休憩ありの150分という長丁場なのに映画が終ってしまうのが哀しいくらい面白かった。休憩の挟み方までかっこいいのが憎らしいくらい。
獄中で出会ったオアシズ大久保さん似の姐さんのかっこよさとか無口な渡哲也の渋さとかいちいち言い出したらキリがなく、無言でグラスを握りつぶしてからの突然のキスはマッチョな男は大嫌いとか言いながら胸キュンを押さえきれず。喧噪と静けさのバランスに痺れ、長田組組長にさえ萌えてしまう自分がよくわからなくなった。主人公が警察から不当な拷問を受けるシーンがやたらとエロくて本格的なSMみたいになってたのと、ラストの超クライマックスの決闘シーンで敵のチンピラにひとり常軌を逸した毛深さの俳優がいた(しかもやたら目立ってて)のには思わず笑ってしまったのは反省。「お前が可哀想だ...」にはちゃんと涙しましたけど。

実は上映最終日、満員のアップリンクさんに駆け込んで渡辺裕子監督特集上映を見に行ってたのでした。81年生まれの女性監督さん、今回が初体験で、どんな映画を撮る方なのか全然知らなかったのだけどこれが大変面白く驚いたのでした。
一本目に上映された『UBIQUITOUS』(10年)は、強盗のつもりがうっかり殺人を犯してしまった若夫婦が、冒頭のタイトルで最後には逮捕される結末がわかっているのに事の重大さと妻の太々しさのバランスに妙にハラハラさせられるかっこいいサスペンス映画でございました。覆面の切り方とか顔の傷とか、監督さんはちょっと楳図かずお的なフェティシズムがあるのかなと思ったら二本目の『ライフライン』(11年)は大した説明もなく町にゾンビが溢れているから家から出られない状況に置かれた老人と中国人ヘルパーあっさりした短編映画で、ちょっと構えて見始めた気合いが空回りってくらい普通に楽しかった。初めて安藤サクラをいい役者だなと思った。次回は是非長編映画を拝見したいものです。
とにかく日本の平屋を上手く撮るなあと感心してたら、上映後の監督と冨永昌敬監督のトークイベントでこの作品の舞台になってる平屋の一軒家が冨永監督のご自宅だと知ってびっくり。あの家はちょっと憧れるなあ。

で今朝の気分はなんとなくアッパーなアメリカ映画だったので他に見るべき映画がいっぱいあるような気もしたがとりあえず、エドガー・ライト監督『スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団』を見に行ってみた。監督の前作『ホット・ファズ俺たちスーパーポリスメン!』が結構好きだったので今回もおバカ映画で笑わせてくれるんだろうとは想像してたけど、CGからワイヤーから使いまくりのここまで贅沢なおバカになってるとは。
映画自体が日本のファミコンゲームみたいな形式で進んでいって、一目惚れした女の子の元カレ軍団が敵キャラとして次々とバトルを挑んでくるというほんとふざけた内容なんだけど、散々派手なことやっといて最終的にはその全てが22歳天パ無職のバンド青年が好きな女を手に入れるためってのがなんか憎めなくて。『キック・アス』より全然優れたアクション映画だし『(500)日のサマー』よりもっと可愛い恋愛映画だと思いました。対バンシーンや雪のブランコは良かったし、112分がちと長くて90分くらいにまとめてくれてたらもっと好きな作品になったかも。あと、ここまでCG頑張らなくても細かいネタで十分面白いのになと身も蓋もないことをちょっと思った。
ドリュー姐さん似なヒロインの声の低さが素敵だった。ここまで顔が似てる兄弟も珍しいよなと思った、斎藤ツインズじゃなくてマコーレ。

確かに最近髪の毛をばっさり切って色もだいぶ明るくしたんだけど、今日一日で遭遇したメンズ三人から連続で「感じ変わったねー!」と言われた。それが良い意味なのか否かはて。

ただいまー、ちょっとバタバタしてたので一本も映画を見ないまま大阪から無事帰京致しました。ちかりた。
メインイベントである友人の結婚式は台風直撃によりあいにくの天候だったけど、一流外資系ホテルを舞台に、式から披露宴から二次会からゲストが宿泊できる用の客室まで準備されてるという近年稀に見るバブルの香りがする宴で、やっぱ西のぼんぼんはやることが違いまんなー!と感心しきりの一日でございました。久しぶりの感覚、楽しかったです。主役でもないのに二次会でお色直しをしていた客はさすがに私だけやったけど。
それにしても、先週先々週と出席した同級生の結婚式で両方とも恒例なはずのブーケトスが行われず、 その理由を花嫁に訊いたところ「妙齢だから...」だそうです。日本人の気遣いスピリットって素敵ねー。

東京に戻って6月の映画スケジュールを計画しようと思ったけどなんかもう色々イベントあり過ぎて手に負えず。起きたその日の気分で行動を決めると決めた。

R0011030_2.JPG
アンモナイト化はぽんずさんの方がお上手。