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    <title>gojo | フレッシュ！</title>
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    <title>7　入学はしたけれど</title>
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    <published>2008-10-19T15:00:00Z</published>
    <updated>2008-10-19T15:00:00Z</updated>

    <summary>７　入学はしたけれど 　空気のたがが緩んだような中に、生暖かい風が吹き、淡い色した桜の花びらが舞っていた。そのひらひらが、黄色に霞んだ街を一瞬一瞬切っていくような視界が広がっている。僕はぼんやり、港を見下ろしながらその光景を眺めていた。 　今日という日は、入学式。新しい生活だというのに、全然嬉しい気分も湧かないでいた。 　朝九時からの式に遅刻しないように、大慌てで小山をのぼった。なんという名のない小山なのだが、階段が延々続く急勾配。若い緑が萌えたっている段々畑を突っ切ってのぼりきったところで汗が噴き出した。 「こげんとこに毎日来るとか」 僕は一人でぼやく。膝に両手を置いて、背を折り曲げて地面を...</summary>
    <author>
        <name>岸川真</name>
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        ７　入学はしたけれど 　空気のたがが緩んだような中に、生暖かい風が吹き、淡い色した桜の花びらが舞っていた。そのひらひらが、黄色に霞んだ街を一瞬一瞬切っていくような視界が広がっている。僕はぼんやり、港を見下ろしながらその光景を眺めていた。 　今日という日は、入学式。新しい生活だというのに、全然嬉しい気分も湧かないでいた。 　朝九時からの式に遅刻しないように、大慌てで小山をのぼった。なんという名のない小山なのだが、階段が延々続く急勾配。若い緑が萌えたっている段々畑を突っ切ってのぼりきったところで汗が噴き出した。 「こげんとこに毎日来るとか」 僕は一人でぼやく。膝に両手を置いて、背を折り曲げて地面を...
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    <title>6　入学前夜</title>
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    <published>2008-09-13T15:00:01Z</published>
    <updated>2008-09-13T15:00:01Z</updated>

    <summary>６　入学前夜 　「淫蕩」。僕は辞書で調べてみた。 「淫らな行為に耽る。それが度を過ぎた様子、情態」 　僕には当てはまらないな、と思って分厚くて埃っぽい辞書を閉じた。読みかけの「風の谷のナウシカ」「アキラ」「アドルフに告ぐ」をぱらぱらとめくりながら、ここ一週間のことを考えていた。考えていると勃起した。先端が痛かった。 　白里舞子とは、井上の家まで送って行った帰りにレンタルビデオ屋で会った。ぼーっと普段はかけない眼鏡をレーベルに近づけて見ている白里を見かけた。 「映画観ると」 「あらあ、うん、暇やっけん」 「一人？」 「うーん、いつ帰るか分からんけどお母さんもお父さんもスナック」 「じゃ」 「じゃ...</summary>
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        <name>岸川真</name>
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        ６　入学前夜 　「淫蕩」。僕は辞書で調べてみた。 「淫らな行為に耽る。それが度を過ぎた様子、情態」 　僕には当てはまらないな、と思って分厚くて埃っぽい辞書を閉じた。読みかけの「風の谷のナウシカ」「アキラ」「アドルフに告ぐ」をぱらぱらとめくりながら、ここ一週間のことを考えていた。考えていると勃起した。先端が痛かった。 　白里舞子とは、井上の家まで送って行った帰りにレンタルビデオ屋で会った。ぼーっと普段はかけない眼鏡をレーベルに近づけて見ている白里を見かけた。 「映画観ると」 「あらあ、うん、暇やっけん」 「一人？」 「うーん、いつ帰るか分からんけどお母さんもお父さんもスナック」 「じゃ」 「じゃ...
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    <title>5　春の憂鬱</title>
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    <published>2008-09-13T15:00:00Z</published>
    <updated>2008-09-13T15:00:00Z</updated>

    <summary>５　春の憂鬱 　ミルクのような匂いが鼻孔に溢れた。 「うち、どげんやった？　ねえ、どげん」 女の部屋のベッドの上で、僕は天井の白熱灯をぼんやり眺めていた。その僕の視界に、覆いかぶさるようにして白里の顔が入ってきた。 　ポニーテールをといたウェーブがかかった髪が、僕の貧弱な胸にかかった。くすぐったかった。でも、僕は無表情を崩さなかった。 「ねえ」 白里は裸の上半身を預けてきた。そして胸に顔をのせて、僕を上目使いで見つめた。白里の卵形の顔の先端、顎の部分があばら骨をぐりぐりして痛かった。 「痛かなあ」 「ずうっと、栄助、ちんちんば入れんで卒業してさ、急に家に来るとやもん。そいでこうなってさぁ」 「...</summary>
    <author>
        <name>岸川真</name>
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    <title>4　パラレル１９８９</title>
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    <published>2008-07-12T15:00:00Z</published>
    <updated>2008-07-12T15:00:00Z</updated>

    <summary>４　パラレル１９８９ 　と、僕は気がつくとタクシーの運転手だったことに気づく。 　目の前では高校生フェンサーが競技を始めていた。もう、僕の「あの時代」ではない。一九八九年は遠い向こうにいってしまったのだと、白い踊るような影を見ながら思い至ったのだった。 　　　＊　　　＊　　　＊　　　＊　　　 　が、この「僕」である田中栄助の生きている時代はあなたが読んでいる現代、「いま」ではない。サルの元気一杯の暴力も、すべて違う次元、パラレルワールドの出来事である。 　そのように書く私は誰なのか。 　私は「僕＝田中栄助」であり、かつまた、そうではない存在だ。私は、別の一九八九年を生きた売れない文士である。 ...</summary>
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        <name>岸川真</name>
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    <title>3　喧嘩、喧嘩は海の華</title>
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    <published>2008-06-08T15:00:01Z</published>
    <updated>2008-06-08T15:00:01Z</updated>

    <summary>３　喧嘩、喧嘩は海の華 「よー来たやっか。え、文国」 猿渡ことサルはポケットから、馬鹿でかい金のライターを出した。耳に引っ掛けた煙草を一本口にぶらさげると、火をつけた。 「サル、見届け人のおるとか。今日は」 李文国の眼は、切れ長で白目がちだ。それが僕を射すくめている。 「知らん......関係なかっさ。勝手に来たと」 サルはぶわっと紫煙を目の前に吹き出した。煙幕のようだった。 「帰らんで、見て行け」李はぶっきらぼうに言った。「なかなか見られんぞ」 「なんやその黒か棒はぁ。チンポか？」 サルは煙草でトンファーを握った右手を指した。李とサルの間合いは五メートル。李は、ゆっくりゆっくりカンフーシュー...</summary>
    <author>
        <name>岸川真</name>
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    <title>2　昭和最後の暴力教室</title>
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    <published>2008-06-08T15:00:00Z</published>
    <updated>2008-06-08T15:00:00Z</updated>

    <summary>２　昭和最後の暴力教室 　昭和六四年。 　その最後の日、僕は祖父から譲ってもらったサージ織藍色コートを着て、オランダ坂をのぼっていっていた。 　長崎の冬は、西国の端とはいえ寒く厳しい。古めかしいバルマカンスタイルのコートは、中学三年生には似合わないと思い込み、着ていけとうるさく家の者に注意されても袖を通すことは滅多になかった。 　しかし、今日ばかりは誰の忠告を得るでもなく、学生服の上に羽織って外に出た。 　家の中は、朝から二分されていた。 　祖父の英晴は、陛下裕仁が崩御した報を受けて、朝から祝いの盃を傾けていた。 「なんもかんも悪かとじゃ。二・二六でん、義侠の強者を見殺しにしおってから。そん前...</summary>
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        <name>岸川真</name>
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        ２　昭和最後の暴力教室 　昭和六四年。 　その最後の日、僕は祖父から譲ってもらったサージ織藍色コートを着て、オランダ坂をのぼっていっていた。 　長崎の冬は、西国の端とはいえ寒く厳しい。古めかしいバルマカンスタイルのコートは、中学三年生には似合わないと思い込み、着ていけとうるさく家の者に注意されても袖を通すことは滅多になかった。 　しかし、今日ばかりは誰の忠告を得るでもなく、学生服の上に羽織って外に出た。 　家の中は、朝から二分されていた。 　祖父の英晴は、陛下裕仁が崩御した報を受けて、朝から祝いの盃を傾けていた。 「なんもかんも悪かとじゃ。二・二六でん、義侠の強者を見殺しにしおってから。そん前...
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    <title>1　溶けた時間に</title>
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    <published>2008-04-02T15:00:00Z</published>
    <updated>2008-04-02T15:00:00Z</updated>

    <summary>１　溶けた時間に    　長崎は坂の多い街だ。この地で免許をとると、全国でもそうとうな腕前のドライバーになれるという。故郷に帰った僕も、この五月からドライバーの端くれになった。  　十九歳から二八歳まで東京で暮らしていた。東京はたいへん生きにくかった。僕は、映画に憧れて、高校を卒業すると、つてもなく上京した。  　十八歳とさよならした三月の末のことだった。花の都と唄われた場所は、ぎすぎすしていて怖かった。狭い銀色の箱の電車。サラリーマンの殺気立った態度。僕には新聞をめくる音が胸を小刀で切るように聞こえた。  　意味もなく可愛い女の子たち。彼女たちは、生育の早い雑草のように駅のホームや街角に立っ...</summary>
    <author>
        <name>岸川真</name>
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