8.10
うらめしや
あまりにも暑いので、涼を求めてホラー映画でもとラピュタ阿佐ヶ谷へ向かうも、劇場までの道のりの途中で命の危険を感じる程汗をかく。もうイヤ。
でも、森一生監督の『四谷怪談 お岩の亡霊』(69年)のおかげで確かに少し涼しくなりました。怖いよ。映画がっていうより、伊右衛門が冷酷過ぎて。四谷怪談は、加藤泰と中川信夫監督ヴァージョンと、なぜか蜷川幸雄の舞台を見てるけれど、伊右衛門の残酷さは森監督のがピカイチ。これっぽちも優しさとか後悔とか葛藤とかなし。佐藤慶の顔と演技もよくマッチしてた。最後の方、本気なのか狂ってるのかわからないところとか。
お岩役の稲野和子も、始めはそんな美人に見えなかったのに、病気がひどくなるにつれてやたら綺麗でぞくぞくした。特に伊右衛門が優しい芝居をした時に鏡を見て髪型を直すシーン。泣ける。あと、火の玉ってのを久しぶりに見た気がする。
「四谷怪談」を見る度に、人間て性悪なんだなとつくづく感じて、しょうがないけどヤダヤダなんて思いつつ、今リメイクするとしたらやっぱりこの最低男の役はあの御方しかいないよなあと妄想の世界に浸る。