『蟻の兵隊』
高校野球観戦に延長11回あたりで飽きたので(まさかあんな結果とは!)、表参道に出向いて『蟻の兵隊』(池谷薫監督)を見に行ってみる。
第二次世界大戦時、ポツダム宣言の後も中国の内戦を闘うために残留した日本兵たちの存在を「自らの意志で残り、勝手に戦争を続けた」とみなし戦後補償を一切拒否する国に対し、「自分たちは帰りたかったのだ」と主張し、軍人恩給を求め最高裁に上告している元残留兵を廻るドキュメンタリー映画。元兵士のおじいちゃんは何人か登場するけれど、主には奥村和一さん(80歳)のお話。
相変わらず恥ずかしながら、残留問題をこの映画を見るまで知らなかった私…。それでもとにかく、ひたすら事実を求めて動いたり考えたりする奥村さんの姿に涙々。
80歳にもなって、国の嘘を暴くために、自分が戦争で向かった中国の村に足を運んで土地の人の話を聞いたり、自分が生まれて初めて人を殺した場所に行ったり、その行動力に驚くよりもまずなんでわざわざそんな辛い過去を自ら掘り起こすのかと、途中で「もうええやん…」と言ってしまいそうになるけれど、証言を拒む元軍人に拒否されながらも家まで押し掛けたり、そんな自分を「戦争を知らない」とまで言ってしまう奥村さんを見ていると、101分と程良い長さにまとめられたこの映画の中に存在する長過ぎて重過ぎる時間の意味を考えないわけにはいかない。珍しく真面目。
印象的なシーンも、驚きの展開も色々あるのですが、出来れば映画を見て欲しいので書かにゃい。ヒットしてるそうだし、私が行った時でも結構混んでたんですが、御老人率高し。それはそれですごくいいことだと思うけど、若い方にも見て頂ければ。
あ、この作品で始めて見た、靖国神社に集う右翼が本当に気持ち悪くてびっくりしたことだけはメモ。
あ、あと、ソクーロフの『太陽』の予告を初めて見たけど、ヤバいですね。一刻も早く見たいけど満員御礼らしいからもうちょっと落ち着いてからかな。
あ、それと、この劇場(イメージフォーラム)ってお客の入れ替えがあんまり効率的ではないですよね…。ちょっと変更希望。