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10.25

『美式天然』

行っちゃった~、東京国際映画祭~。略してTIFF~。言いにくい~。

つーことで、出来たての頃にミーハー気分で訪れた際、店員の態度が悪すぎてマジギレしたら支配人が出てきてなんかうざかったからそれ以来足が遠のいていた六本木のシネコンに久しぶりに行く。友だちの友だち(面識ゼロ…)である坪川拓史監督作品『美式天然』が日本映画・ある視点部門に出品され、有り難いことに席を取って下さるというので厚かましく甘えてみた。

この作品、完全自主映画なのに16ミリフィルム!撮影にかかった期間約10年!など、ちょっと変わった噂ばかりを聞いてたからかなり気になっていたのだけれど、なっかなか日本で上映される機会がなくヤキモキしていたので見れるだけで嬉しかったのだ(正式に日本で上映されるのは今回が初めてだそうな)。

北海道長万部にある映画館で、昭和初期(多分)に一本の映画が上映されてるシーンから始まり、その映画(のフィルム)を巡る過去と現代をつなぐ物語。

特に奇をてらった演出やストーリー展開なわけでもなく、ひたすら静かに映画は進んでいくのだけれど、こういう映画を10年かけて完成させようとした人たちがいるのはとてもいいことなんじゃないだろうかと思える、幸福な作品。

映画の中に出てくる映画館が本当に長万部に数十年前から存在して、それが取り壊されると聞いた監督がなんとかフィルムに残しておきたいと思ったことがこの映画を作るきっかけになったそうだが(泣ける)、その思いは十分に達成出来てると思います。カラーとモノクロの使い方(中川信夫の『亡霊怪猫屋敷』風)も効いてました。楽団が演奏する音楽や劇中流れる曲もすごくいいので、これは是非音響のいい劇場で見て頂きたい。かなりセリフが少ない分、言葉以外で伝えようとしてるものへの配慮がすごい。

色々素敵なシーンはあったんだけど、一番しびれたのは吉田日出子と高木均が踊るシーン。あんなぐっとくるダンスシーン、最近の日本映画では見たことないかも。

それと、映画内映画の無声映画(弁士は小松政夫)のあまりの出来の良さにもびっくりした。相当勉強されたんだなあと感心。

上映後の質疑応答で、監督のトークの上手さにも大変感心。やっぱり映画監督に話術って必要よねーと改めて確認。

引っ越しして電話番号を変えて以来、本当にしょっちゅう間違いファックスが届く。決していたずらではないのだけど、着信の度に「エキセントリック少年ボウイ」の歌を思い出して不安になってしまう。