ストロベリー清順
魚喃(なななん)キリコの漫画って、好き嫌いは別にして、作品が映画として成立してしまってることが多く、その中でもこれは最たるもので、しかも魚喃原作映画といえば安藤尋監督『blue』という秀作が既にあるわけで、なかなか大変そうなのに作っちゃったのね『ストロベリーショートケイクス』(このHPはかなりイケてないと思う…)。どんなもんかと軽い気持ちでチェックしにいく。矢崎仁司監督、実は初体験。
と、あまり期待していなかったのだけれど、ところがどっこい、これがなかなか面白い映画でした。まあ、物語やらセリフやら、8割5分くらい原作の漫画のまんまなんですけど、演じてる役者たちが良かったのだ。
池脇千鶴、ちゃんとブサイクに見えて良かった。可愛かったけど。彼女のキャラの活かし方は映画的に成功してると思う。
中越典子、芝居してるの初めて見たけど、ちゃんと偏差値20くらいに見えて良かった。女優的にヌードがNGで顔射がOKの境界線は全く理解出来ないけど。
岩瀬塔子、ってか、魚喃さんですよね。さすがの痛々しさ。ラヴどころの騒ぎじゃない。自分の作品のこんな役をこんな風に演じれるなんて、かなり凄いことだと思います。尊敬。
そして中村優子。良い良いとは聞いていたけど、こんなに良い女優だとは。ベッドが棺桶とかムダな小細工が不要なくらい、こんなに救いのない役を演じてる彼女を見るだけで満足出来たのに。スタイルも脱ぎっぷりもよろしい。
加瀬亮と安藤政信も両方珍しい役どころで良かったと思います。保坂和志には気付かなかった!
みんな芝居が過剰なわけじゃなく、でも動いてる役者の姿で成立している映画なだけに、唯一ストーリー&演出が100%オリジナルのラストシーンが唯一「これ要らなくね?」と感じずにはいられなかったのがちょっと残念…。なんとかハッピーにまとめなきゃいけなかったんだろうけどさ。
でもでも、これは『blue』の時にもあったんだけど、漫画の中に出てくるめちゃくちゃ大事なセリフが映画では使われてなかったことは消化不良!あれがないと意味がないってくらい重要なのになんで切るかなー。ぶー。
劇場近いし時間丁度やし暇やしってことで、続いてシネマヴェーラの鈴木清順監督特集で『野獣の青春』(63年)を見ていく。
久しぶりの清順&ジョー(宍戸)体験、やっぱりかっこよ過ぎてヤバい。最初のマジックミラー越し無音ストリップとか突然砂嵐の中でSMプレイとかヤクザ事務所の壁が何故か巨大スクリーンとか色々しびれ要素は満載だけど、ただジョーがコルト(拳銃)を持って映画の中を暴れてる姿だけで充分お腹いっぱい。かっこよすぎます(微妙な二枚目具合と運動神経のよさのバランスがいい)。『殺しの烙印』の前なのね。
この特集、東京国際映画祭の一環っていうから混んでると思って敬遠してたのに、ガラガラだった。また来週から通わなきゃいけない場所が増えたと嬉しい悲鳴。