『魂萌え!』
昨夜久しぶりに「ぴあ」をめくっていたら、いつのまにやら殆どの劇場で明日で上映終了状態になっていた阪本順治監督の『魂萌え!』。かなり前から見るのを楽しみにしていたのになんて骨体、と急いで劇場に向かう。普段はあまりお目にかからない、マダム風一人女性客多し。
阪本監督、『顔』(00年)は大好きだけどそれ以降の作品には正直「うーむ…」と思わされるもの多数。なので今回もあまり期待はしてなかったのだが、見てみてびっくりびっくりびっくり。くり。と意味不明な感嘆詞を漏らしたくなる程面白かった。gojo大満足。『亡国のイージス』なんてマッチョ全開な映画を撮った人の作品とは俄に信じられない。
桐野夏生の原作は読んでないのだけれど、物語は、定年退職した夫と妻(60歳目前の主人公)の平和な生活が夫の急死により愛人の存在が発覚したことから一変…、と特に奇異なストーリーなわけでもない。が、主人公と愛人を巡る女の下世話さが分かりやすいけど納得出来るような表現だったり、主人公の高校時代からの同級生達との関係が見てて気恥ずかしくなるギリギリ一歩手前な演出されてて感動できたり。その他の細かいエピソードも、比較する事自体が間違ってるとしても、『顔』より俄然面白くなってるとひたすら感心。映写室やらカプセルホテルやら。
そして、映画全体を通して「女って阿呆よね。でもそれ以上に男って本当に阿呆よね。」というメッセージが伝わってくるのが素晴らしい…。この脚本を書いた監督は凄い。故に、60歳前後のおじさんは勿論、21世紀において美貌と若さを拠り所にハイパーガミーを本気で夢見てるような私の敵な女性たち(全否定はしませんが)にも是非見て頂きたいところ。
更に、宣伝文句的にはポジティブな作品風だけど、実際は『顔』同様、主人公は全く幸せになってないと言う悲惨な作品であるところもよろしい。最終的に手袋選ぶとかさ。人生はそう簡単に味方にならないものですからね。
と、そんなことより、とにかく風吹ジュンの可愛さがやばい。常磐貴子の負けっぷりが可哀相だった。この歳でこんなけ首筋出して(背中まで!)悲壮感なくスクリーンに映れるなんて。いちいちの表情がほんと良い。「ママはアイドル」の時から好きだったけど、改めて惚れ直しました。
他の役者さんも、豪華キャストなだけあってとても良かった。三田佳子も良かったんじゃないでしょうか。
いやあ、まじで良い映画だと思うんだけど、明日以降はモーニングショーになっちゃうのよね。残念。でも有楽町の劇場ではしばらくロードショーらしいので機会があれば是非是非。
あんまり関係ないけど、少し前までは映画の中に出てくる携帯電話ってあまりに安易な使い方しかされてなくてイライラしたけど、さすがに最近は活かされてる作品が多くてすっきり。