ぜんぶ、少女
予告を見て何となく気になった『ぜんぶ、フィデルのせい』(ジュリー・カヴラス監督)を見に恵比寿へつるつる。
1970年のフランス、インテリでブルジョアな家庭でぬくぬく育っていた9歳の主人公は突然キョーサン主義に転向した両親に振り回され生活が一変(家が小さくなったり休日にデモに参加させられたり)したことに激怒し「ぜんぶフィデラ・カストロのせいだ!」と大人たちに反抗しまくりながら成長したりする物語。カストロが何をしたのかあんまりよく知りませんが、基本的には9歳の少女しか映ってないのに99分という時間でここまで家族やら歴史やら友情やらを描ききってるのはすごいかもと感心しました。ちょっと『ペルセポリス』な香り有り。
常に仏頂面の主人公が大人の理不尽な行動に大声で異を唱える姿に、そんな経験もないくせにやたらと「その辛さわかるわあ」と共感してうっすら泣いてしまった。監督が女性(コスタ=ガヴラスの娘だそうな)だからか、母親と娘の関係も甘ったる過ぎなくて良かった(大喧嘩した後に一緒に寝る下りとか)。家政婦と友達を同等に扱うのはいかがなものかと思ったが、最後のカットにはおよよと泣いてしまった。小生意気な弟がもうちょっと活躍してもよかったんじゃないかしらんと思わなくもなかった。やっぱり白人の子どもがカラータイツを履くのは絵になるなあとうっとりした。と、中々つるつる甲斐のある映画で嬉しかったのでした。
夜は、レイトショーにて『夕映え少女』鑑賞。
東京藝大に在籍する(していた?)4人の監督さんによる川端康成原作作品のオムニバス映画。勝手にめっちゃ自主映画っぽいものを想像していたら全部キャストがえらい豪華でびっくりした次第。
4作品それぞれに対して色々思うことがあったりなかったりですが長くなるのもあれなんで失礼ながらはしょらせて頂くと、一番印象に残ったのは船曳真珠監督の『夕映え少女』ですかね(色眼鏡じゃなくてほんとにね)。短編だとか原作ものだとかいう条件を最も逆手に取って自由に映画にしてるところが良かった。最初のカットと心中のシーンにはドキっと致しました。『夢十夜 海賊版』に続き、満足させて頂きました。
それにしてもそもそもこれは何故川端康成を映画化するという企画になったのであろう。あえてこんな無茶をする理由がかなり気になった…。