『ラスト、コーション』
岡田秀則さんの連載が更新されましたのでご一読を。『私は20歳』はいい映画だ。
エロ映画だという情報しか持たずにアン・リー監督『ラスト、コーション』を見に行ったら、実は1942年の上海を舞台にした反日スパイ映画だった、と思ったらドM男の映画だった、と思ったらやっぱりトニー・レオン様の映画だった。
いや確かに重要と思われるベッドシーンはぼかしかかりまくりでかなり大胆な感じだったんですが、いかんせんこれが変態的にエロいわけでもなく官能的に美しいわけでもなく、ああえらいセックスしてますねとしか思えなくて残念。前作『ブロークバック・マウンテン』も基本的にセックスの映画だったが、根本的に監督さん自身があんまりエロくないんじゃないかしらん。作品全体も、衣装もセットも超立派で157分もある大作だけど、ああえらい頑張ってますねとしか思えなくて残念。
それでもいいシーンは幾つかあったりで全然おもんないってわけではなかったけど、とりあえず、主演のタン・ウェイの容姿に乗れなくて困った。設定的に幼い雰囲気なのは仕方ないとしても、ピーコが以前言っていた「丸顔の女優に悲劇は無理」という言葉を思い出さずにはいられませんでした。切ない恋の辛さも歴史に振り回される苦しさも彼女からは感じられずかにゃ。
しかし、老けたとは言えトニー様はやっぱり素晴らしかったー。やっぱりええ男やー。終止殆ど無表情なのに女を見つめる顔だけで十分。初めてレストランで食事に行くシーンなんか、面白いけどこれトニー様じゃなかったら見れないよなと思ったり。セックス中さえも無表情で一糸乱れぬ美しさなのはちょっと笑ったけど。
チャイナドレス姿の美しいおばさまたちが麻雀してるシーン、『デス・プルーフ』みたいならもっとおもろかったような。反日運動のリーダーが和泉元彌にしか見えなかったような。