3.18
『潜水服は蝶の夢を見る』
マチュー・アマルリックが好きなんです、ということで、ジュリアン・シュナーベル監督の『潜水服は蝶の夢を見る』を見に久しぶりにバルト9さんへ。
まあ、元ELLEの敏腕編集長だったやり手リーマンが脳内出血を起こして植物状態になるも唯一動く左目の瞬きを利用して自伝を書き上げるという物語が実話ってだけで十分にドラマチックなのですが、映画自体もうっかり胸を打つ中々素敵な作品でございました。
冒頭からしばらくカメラが主人公(体も動かず声も出ない)の主観で進んでいくのにはちょっと甘ったる過ぎるんじゃないかと文句を垂れかけるも、途中から監督がなんでこの方法を選んだのかがなんとなくわかってきて切なくなる(なんでなのか上手く説明はできないけれど…)。元気な時のマチューと車椅子に乗ってるマチューの意地悪な映し方とか海に浮かぶ後ろ姿とか好きな女との空想とかも不幸感は漂わないけどなんか泣けた。泣いてないけど。
重症の患者なのに病室のインテリアがやたらラブリーでさすがフランスだなと思った。ヤヌス・カミンスキーのカメラはさすがにかっちょいいなと思った。エマニュエル・セニエが凄くいいと思った。と、予想外の掘り出し物で嬉しかったのでした。連れは終始爆睡してましたが。