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8.17

『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』

こんなけ涼しかったら外にだって出てあげる。しかも早起きまでしてあげる。ということで11時の回のみ上映のホウ・シャオシェン監督最新作『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』を見に六本木へえっちらおっちら。アルベール・ラモリス監督の『赤い風船』(56年)にオマージュを捧げた作品だそうだがそちらは未見(近日中には必ず…)。映画の舞台はパリ。

素晴らしい映画であることは見る前からわかってたけど、実際見ても素晴らしさはいや増すばかり。寝不足早起き113分という三重苦な状態でしかもこんなに静かな映画で私に一睡もさせないホウさんはほんとに凄い。今回でめでたくロメールとイオセリアーニに続いて結婚したい男性の殿堂入りを果たされました。ああでも今回は更に、改めて私はリー・ピンビンの風船カメラが結婚したいくらい好きだと気づいたのだった。悩ましい。

何一つ世界が動くわけでもないパリでも台湾でも舞台なんで何処でもいいような退屈な物語がむかつくくらい良い(故になんで日本ではこんな映画が撮られないんだろうと切なくなってみたり)。何を見ても好きになれないジュリエット・ビノシュが似合わない金髪姿で気に障る芝居をしていてもそれすらも良い。緑人間の罠にまんまと嵌ってもそれすらも許せる(でも風船の謎は今イチ解けない)。とにかく、このなんにもないようなあるようなでも多分なんにもない(でもごめんやっぱりあるかも)映画を見てすっかり気持ちよくなってしまったのでした(故になんでこんな上映スタイルなのかますます腑に落ちない)。ホウさんには可能な限り長生きして頂きたい。

いい映画を見てご機嫌になって気温も低いしお盆で人少ないしで久しぶりにヒルズでも満喫するかと気合いを入れた瞬間デーブ・スペクターとすれ違ってなんかテンション下がって大人しく帰宅。深夜はサマンサ乳がんの回を見てスミスの愛に懲りずに一人で号泣。