大菩薩の中で
昨夜は、表参道で女友達とご機嫌に呑んだ後、帰宅途中に成人して以降初めてってレベルでスーパー最高不愉快な目に遭って浮かれ気分が台無し。ムカつき過ぎたので家に着いてから安酒で一人でヤケ酒。とりあえず男なんて全員死ね、という権利が私にはあると思うぜ。死ね死ねバーカ死ね。
今日は、昼過ぎに起きてもまだ胸クソ悪かったのでこんな時はいい映画を見て気分転換するに限るとシネマヴェーラさんで開催中の「内田吐夢百十年際」に繰り出す。
一本目に『大菩薩峠』(57年)を鑑賞、ニュープリントということで映像はとてもきれいだったけどところどころフィルムが抜けてるのか話の展開が突然猛スピードで進んだり、ミナミの帝王ばりに低音ボイスな片岡千恵蔵のセリフが正確に聞き取れなかったりで障害の多い119分だったが、何度見ても天然ものとは思えない中村綿之助の美しさや千恵蔵の人非人キャラにうっとりできたので、良し。全然内容を知らなかったので勝手にもっとチャンバラな映画を想像していたが、だいぶ濃厚な時代劇ドラマで、それはそれでこういうの久しぶりに見るなあと満足出来たのでした。それでもラストの爆発→斬り合いはめちゃんこかっこよかったけど。
二本目に『自分の穴の中で』(55年)を鑑賞、継母と娘が一人の男を巡って火花を散らしそこに兄やら別の男やらが絡んでくるというだいぶエログロな物語。でも実際にはエロシーンがない、でもめっちゃくちゃエロい。若い頃の三国連太郎は想像妊娠レベルのヤバさだと思います。色っぽ過ぎ。ここでもまた連太郎の人非人キャラにうっとり。
やたらとアグレッシブな音楽に少し疑問が残ったが、主な舞台となる一軒家そのものとか(木村威夫の美術がよろし)、女と女のやりとりとか、女と男のやりとりとか、家族のやりとり(病人を真ん中に3人で話すシーンはゾクゾクした)とか、全てが濃ゆーくて満腹な125分であった。女の嫉妬は恐ろしい。
母親が口説いてくる男の手にしれっと煙草を押し付けるの、いつか私もやってみたいと思った。家族が家で過ごす最後の夜、雨の中病人の兄が這って女のところに行こうとする下りは完全にホラーで(そこで母親が無反応なのもホラー)でもなんか哀しくて泣けた。ラストの主人公の悲惨さに吐夢の人非人っぷりを見た。
それにしてもしかし、今回の特集でも『たそがれ酒場』を見逃した私はやっぱりサトエリになれないんだなとしょんぼり。
最後の砦だったフレッシュネスバーガーが分煙になっててかなりショック!!!