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8.20

自由の砂漠

耳鳴りに悩む社長(父)がどこかから風鈴の音が治療にいいらしいとの噂を聞きつけ会社のクーラーの真ん前に風鈴を4個も5個もぶら下げやがって明らかにその音の方が耳鳴りよりうるさいのに社員の誰も文句が言えないというワンマン経営の哀しみを眺めた後、久しぶりにフィルムセンターさんに向かい「生誕100年 川喜多かしことヨーロッパ映画の黄金時代」特集をチェキ。

ルネ・クレール監督『自由を我等に』(31年)、大富豪になった脱走兵とその仲間が「腹さえ決めれば至る所に笑いと酒はある〜(細部微妙)」と唄う姿にうるうるしてたら、隣りに座ってたおじさんがいきなり声を出して一緒に唄い出したのでびびった。でももし私がこの歌を知ってたらつい唄ってしまってただろうと思われるのでそっとしておいた(最近は気の小さい人が多いからいやあね。そう言えば昨日のヴェーラでもひと揉めあったわ)。映画に出てくる豪邸のインテリアや女性のファッションがやたらモダンで面白かった。満足。

ミケランジェロ・アントニオーニ監督『赤い砂漠』(64年)、わからん、私にはわからん、あの巨大な工場と鉄塔と船と沼地と海とあの大量の煙と霧とあの男の視線の先に何もないこととあの突然の乱交部屋と息子の仮病と青い海とあのホテルの白さの意味が。いや、事故をきっかけに情緒不安定になった人妻とその行動(他の男と寝る)という物語自体はわからなくもないしモニカ・ヴィッティの美しさにはドキドキしまくったし満腹でぼんやりしてたのに116分間完走したってことは多分大変面白い映画なんだろうと思われますが、こんなに自分の脳みそを悔いた映画も久しぶりでした。色々「うわすげえ」と思ったシーンがあるはずなのに、最終的に「俺にはわからんかった…」という感想に収斂されてしまい細部を失念。無念。こんな映画が自分が生まれるより10年以上も前に公開されてたって凄いことな気がする。

先進国の筋肉バカ祭り(オリンピック)に特に興味はないけれど、ボルトの200メートル生中継はさすがにエラいもん見た気がした。