『英国王給仕人に乾杯!』
昨日は、久しぶりにフィルムセンターさんに行く気満々ちゃんだったのに正月ボケの頭がすっかり休日のタイムテーブルを勘違いしてそれに気づいた瞬間全てがグダグダになって銀座でワインを呑んだくれ。ネーミングは今イチと思われるが中々いい店だった。いやしかしなんで東京の店員さんはあんなにお皿をさっさと下げたがるのかという謎は日々深まるばかり。
本日は、チェコの映画なんてアニメも含めてほとんど見たことがないけれど人に勧められたからって理由だけで『英国王給仕人に乾杯!』 (イジー・メンツェル監督、その筋では巨匠だそうな70歳)を見に行ったらこれが大層面白い作品で嬉しかったのでした。ただ私が無知なだけで、日曜の午後にかなり混雑してたんですけど。
タイトルからは全く想像つかない(でも意味が分かるとかなりかっこいいタイトルですねこれは)、セックスとお金と権力つまり欲望つまり戦争つまり人間についての深刻な物語、なんですが、映画自体はものすごくポップで可愛くてまるでミュージカルを見てる気持ちになるような。これは頭でっかちなおっさんから永遠のオリーブ少女までみんな同じくらい楽しめる大変珍しい映画ではなかろうか。
ムショ上がりの老人が自分の過去を振り返るというかたちで彼の給仕人史とチェコとドイツの歴史(30年代)が挿入されていく、その過去のそれはそれは贅沢で眩しい美しさと現代(設定は60年代だけど)のボロボロな廃屋の美しさにうっとり。といい気分になるけれど、でもこの映画の中に出てくるほとんどの人のことは許しちゃいけなくて特に主人公はこんなに馬鹿でいいのかと不安になる程馬鹿で、でも最後にはお金も女も消えてもお酒がなんとかしてくるという非常に勇気づけらるメッセージも大変気に入りました。楽しかったです。終演時間が早かったのでその足でビール屋に駆け込めなかったことが心残り。
それにしても、このエロを笑いに持っていくセンスはほんと素晴らしいと思うんですが、それにしても、金持ちのおじいさまってそんなに若い女の裸を見たいものなのかと。まあおじいさまな監督が撮ってるんだから見たいものなのか。かなりの数の女性が出てきたけどひとり残らず裸になってるんじゃないかしらん。