『誰も守ってくれない』
君塚良一って私の中では「心はロンリー気持ちは…」の人だったのに世間じゃすっかり「踊る大走査線」だったのですねって当たり前かってか佐藤浩市最近仕事し過ぎじゃね?ってことで『誰も守ってくれない』を見に行ってみた。
18歳の長男が殺人事件を起こしたため突然「犯罪者の家族」となった人間を社会の批判や好奇の目から守る刑事、その事件の詳細や背景は潔くばっさり無視され、殺人犯の妹である中学生(志田未来)と佐藤浩市演じる保護役のデカVS悪者のマスコミとネット社会というカタチで映画は進む。
ああなんかTVと違うことがやりたかったのねと思わせる全編手持ちカメラと細か過ぎるカット割りの意味や必然性は今イチよくわからなからずただ見てて疲れるわ!と突っ込みたくもなったが、それでも前半警察の事務的な動きやマスコミの巻き方が勉強になったりここまでマスメディアを劣悪と言い切るのはいいんじゃないのと思いかけた矢先(まあテレビ局が作ってる映画な時点で茶番ですけど)、ペンションのオーナーとして柳葉敏郎(妻は石田ゆり子)が登場した途端なんだか不安になり、そのままラストにむけて不安が的中したまま映画は終焉を迎えていったのであった。恐るべしギバちゃん。
なんだかなあ、こんな思わせぶりなテーマを扱いながら「被害者の家族」って存在まで出しといて結局家族の絆と少女の成長というオチはいかがなもんか。中途半端な2ちゃん的ネット犯罪の扱いもこれじゃちょっとまずい気が(でもじゃあどうすればよかったのかよくわからないんですけど)。どうせなら3時間以上かけてもっと気持ち悪い映画にすればよかったのにと思った。有り得ないやろうけど。
でもこの作品、実は、少年犯罪は生み出すし加害者の家族は殺すし居場所は曝されるし友達に騙されるしで、全体を通して何一ついい仕事出来てない日本の警察がいかに無力で馬鹿かってことを描いていると捉えられなくもない。