『フロスト×ニクソン』
珍しく自然に早起きしメイクも着替えも済ませてさあ出掛けようとした時これまた珍しく大阪の相方から電話がかかってきたので何事かと思って出てみると、「最近お酒飲み過ぎで一口目から吐き気がする。お酒の子ども妊娠したのかも」という相談だった。とりあえず軽くお祝いの言葉を述べて(それを言い訳にバイトを休むと言うのにはさすがに反対したけど)、そのまま平日の昼下がり29歳の女がふたり100%非生産的な会話を2時間近く展開し、彼女の家のベランダに笑えない程大量の鳩が現れ出したのをきっかけに別れを告げたとさ。
もちろんそんなことが一日のメインイベントなわけではなく、その後ちゃんと新宿に出てロン・ハワード監督『フロスト×ニクソン』 を鑑賞したんですよ。電話では「もう今日出掛けんのやめーや」とお互い言い合いまくったけど。
ロン・ハワード監督の真面目な観客でもなければニクソンについて正しい知識を持ってるわけでもない私ですが、大統領辞任直後の大物にコメディアン出身のTV司会者がインタビューを実行するまでの緊張感がテンポ良く進んでいく様子はわくわく出来て面白かった。お金集めが大変なのに虚勢を張るTVマンの姿が笑えたり切なかったり。がしかし、肝心のインタビューが始まると、え、フロストってどこまでもただの馬鹿だったの?え、ニクソンってどこまでも金と権力にしがみつくうざいじいさんだったの?という印象に映画が収まってしまっててややずっこける。インタビューが盛り上がるきっかけになる事件が起こるまでも時間的に長くて少し疲れた。多分監督がお優しい方なんだと想像、実話が元になってるんだからこれが事実なのかもしれないけど、個人的にはフロストがもっと狡賢い奴で、ハチャメチャな仕事をするような展開でもっとすっきりしたかったかな。GUCCIの意味はよくわからなかったなり。
それにしても、ケビン・ベーコンは何か(間違った)ことを妄信してる役がよく似合う。あと、恋人(?)役の女優がめちゃんこ可愛かった。