『MILK』
んちゃんちゃ。
最近めっきり興味を失い気味だったガス・ヴァン・サント監督だけど一応最新作はチェキっとくべかとシネマライズさんに『MILK』 を見にいったら、これが大変良い映画で、うるうる泣いてしまったりなんかして。思い込みってダメですね。カメラマンって大事ですね。
1970年代のアメリカで、同性愛者であることを公表してアメリカで初めて公職に就いたハーヴェイ・ミルクという政治家の、事実に基づく物語。最後は敵対する政治家に殺される。 ゲイであることを隠してサラリーマンとして生きていた主人公が若い恋人と出会って人生を変えるためサンフランシスコに移り住みそこで出会った仲間たちと運動を起こして偏見と闘っていく、素直な映画に素直に感動。そうだ若者は希望を求めて怒ってるんだから全裸で騒ぐくらい放っといてやれよとすら思えてくるから不思議。政治活動はもちろん、恋人とのやりとりも可愛くて切なくて泣ける。
合間に挟まれる古い映像がこの映画のために作られたものなのか実際のものなのかよくわからなかったけど、すごい存在感。特にあの差別主義者のおばさん(名前がすっかり思い出せない)。たった数十年前に同性愛者の人権を公然と否定する法律が成立しようとしてたって事実にはもちろん驚くけれど21世紀にならなきゃ黒人が大統領になれない今も同じようなもんかと思うし、だからこの映画ではわかりやすい敵キャラしか顔が映らないんだろうなと勝手に解釈。
と真面目な映画だけどガス先生はジェームズ・フランコやエミール・ハーシュなどの若手イケメン俳優もきっちり押さえる。みんなかっこよろし。主演のショーン・ペン、細かい手の動きや眉の表情でゲイっぽい雰囲気を出すのが上手い。上手過ぎて「もうわかったってば」と言いたくなる程。でも最後に出てきたミルク本人の写真がマジでショーン・ペンそっくりで、何も言えなくなったのでした。お見事。