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7.10

棒の女

見に行ったのは昨日なのだがその帰りに立ち寄った呑み屋で見知らぬ男に「福のある顔してるねえ」と10回以上言われてる間に今日になってしまったシネマヴェーラさん「神代辰巳レトロスペクティブ」にて『棒の哀しみ』(94年)&『美加マドカ・指を濡らす女』(84年)。神代監督最後の映画作品&最後のロマンポルノ作品だそうな。
原作はスクリーンでもすごい存在感だった北方謙三先生『棒の哀しみ』、初めて見たけどすっげー面白かった。今まで見てきた神代監督作品とはまた違う男臭さ。ドンパチがあるわけではないやくざ映画なのに、やたらめったら怖い。奥田瑛二演じる主演のやくざ男(これがちょっとかっこよ過ぎたか。中田ボタンが似合いそうだなあと思いながら見てしまった)が話す独り言がなんか恐ろしい。刺された傷を自分で縫う男とそれを見て欲情する女てなんちゅー世界やと呆れかけたけどあまりの異様さにひたすら圧倒された。中途半端なやくざ映画にはつい一言言いたくなる私もさすが大人の男を目の前におとなしくなりやした。いやしかしナンパされたおじさんにシャブ漬けにはされたくない。
『美加マドカ…』、ストリッパーのヒモ役若い内藤剛志がえらい可愛くてびっくり。前半ほとんど男と女が狭いアパートで暴れてるだけなのに二人がひたすら動き回る姿を見てるだけでじゅーぶん楽しい。ラストの、ベッドの周りを回り続ける内藤剛志にはなんでか泣きかけた。ハイヒールモモコ顔のストリッパーも叫んでるだけやけど、なんかえらい良かった。途中で突然現れるアパートの女も全然意味わからんけどすごかったなあ。と大変満足なのですが、あの赤ん坊の扱いはさすがにちょっとどうかと…。見ながら本気でひやひやした。実際の親は怒らなかったのだろうか。