『セントアンナの奇跡』
すいません、残暑のもののけに取り憑かれたように呑んでました。
呑み過ぎた頭で久しぶりに映画情報をチェックすると新宿のテアトルタイムズスクエアさんがあと数日で閉館するということなのでなんとなく記念にスパイク・リー監督最新作『セントアンナの奇跡』 を見に行ってみた。相変わらず急だった。あ、その前にうどん屋のおやじに軽く惚れられた。
163分と長尺、おとなしそうな黒人のおじいさんが仕事中に突然客を射殺、という事件が冒頭5分程で語られその後はひたすらイタリアの小さな村でナチスと闘うアメリカの黒人兵士4人と不思議な少年についての物語が展開(その事件とこの5人の関係もかなり後半でしかわかってこない)。『プライベートライアン』ばりに激しい戦闘シーンや実際の出来事だという(さっき知った)セントアンナの大虐殺シーンなど見てるだけでも十分辛い部分はあるものの、結論としてこれは黒人の黒人による黒人のためのおとぎ話なんだなあと感じた次第(誰かが思い出を語ってるという形式ではないけど)。そのスパイクさんの真摯さに心打たれ、色々ここはちょっとダサくてかったるいんじゃないのとか結局どういうことなのと腑に落ちなかったりとかする部分もなんかそういう細かいことはいいかと思ってしまったよのさ。さすがにもうちょっと短い方が良かったかと思うが。アメリカ人もドイツ人もとりあえず出てくる白人兵士はみんな最低というものすごい偏りっぷりだけど、たまにはいいんじゃないでしょうか。
ただ、『重力ピエロ』程ではないけれどこのラストだと正当な理由があれば人を殺してもお金で解決すればオッケー、ってことかと思えなくもないのはちょっと引っかかる。それと、でもやっぱり私が一番好きなスパイク・リー監督作品は『セレブの種』かも知れないとこっそりおもふ。