『アリス・イン・ワンダーランド』
先日のリベンジに、やっとシネコンでティム・バートン監督最新作『アリス・イン・ワンダーランド』を3Dにて鑑賞、架空の世界をドカンと作り上げて、その世界をひたすら楽しむ作品でした。お話の重要なキーである筈の伝説の剣を入手するところや現実世界に戻ってからのオチのつけかたとかかなりテキトーで、お話をちゃんとやろうとするつもりではないんだなと。そんなテキトーさが全く頭にこないのは、架空の世界の住人や建物や自然を、バートン監督がめちゃくちゃ丁寧に愛情をもって描いていたからだと思います。だから、畸形的な人間がガンガン出てきたり動物が言葉を話したりても、とても面白くて豪華だけどいい意味で普通の映画を見たという感じでした。悪玉であるはずの赤の女王が一番悲しかったな。どんなに変なメイクをして異様な人物を演じても、いつもどこか寂しげな表情のジョニー・デップがいつも通りとてもよかった(っていうか実は私、原作のアリスをきちんと読んだことがなくて(失礼)ちゃんとした内容を知らないんだけど、こんなにフリークスと頭のおかしな動物がうじゃうじゃしてるだけの話なの?)
ただ3Dにする必要があるのかは疑問。例えば、同じように童話を映画化するゼメキスの場合、架空の世界に迷い込んだことで主人公の価値観が決定的に変化してしまう体験をできるだけ観客に共有させるための距離感を作っているし、そのためには3Dが不可欠だと思うんだけど、『アリス』の場合、不思議の世界をできるだけ近いところで見せるためっていう意外に3Dの意味がなかったような。不思議の国を旅してもアリスはとくに何も変わらないし、そこがどんなにいいところでも最後は現実の世界に戻っちゃうしねえ。その意味で、バートン監督の不思議の国に対する距離感が一番わかるのは2Dなんじゃないかと思いました。強いていうなら、小さなネズミからどデカイ竜みたいな怪物・ジャバウォック(クリストファー・リー!)までが出てくるなかで、アリスが不思議な薬で大きくなったり小さくなったりするため遠近感が狂ってラリッたような感じになるのは3Dならではの面白さなのかも。
なんてこと言いながら観賞後しこたま酒を呑んで気付いたら全裸で家のベッドに転がっててまんまと大風邪を引き久しぶりに20時間くらい寝る。熱いよー。