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5.12

『メアリー&マックス』

思い返せば06年、フィルムセンターさんで開催されたオーストラリア・アニメ選集で主人公が障害者のクレイアニメという『ハーヴィー・クランペット』に衝撃を受け過ぎてついDVDまで購入してしまったアダム・エリオット監督の最新作となれば見逃すわけにはいかぬと『メアリー&マックス』 を新宿にて。
今回も愛らしいクレイキャラクターたち演じる、ニューヨークで独り暮らしする自閉症が故に過食症になった孤独な中年マックス(声優はフィリップ・シーモア・ホフマン…)とオーストラリアの片田舎に紅茶工場で働く父とアル中で手癖の悪い母の元で暮らす額にウンチ色の痣がある少女メアリー(離婚する旦那の声優はエリック・バナ…)がひょんなことから文通を始め、数十年続くその関係の中で最終的にふたりが心を通わせるでもなく社会的に成功するわけでもない超現実的な世界を描きながらも、でも映画に溢れるあまりの優しさにさすがの私も涙を堪えることができなかった。久しぶりに目が赤くなるまで泣いた。こんなに悲しいケ・セラ・セラなんて。しかもこれが監督の実体験で、製作に5年と6億を費やしたって言うんだから感動するなって方が無理な話で。もちろんそんな事情があっての感動ではなく、前半ひたすら手紙のやりとりで進んでいく展開にちょっとダルいかなと思ったりナレーションに頼り過ぎなのはいかがなもとかとも思ったりもしたんですけど、あのメアリーの涙とかマックスの生活の細部とかアニメであり映画でなきゃ有り得ない表現に単純にワクワク。素敵な映画でございました。甥っ子たちがもうちょっと大きくなったら一緒に見てみたい。もちろん子どもはビールグラスから生まれるんだよと教える。