『Rocks Off』
なんてね。ひと月程前からどうやら私のMacにデータが入ってるらしいと薄々気付いていたのだが(編集用に貸してた)見て見ぬフリしてやり過ごし、11日オーディトリウムさんで上映されるまで待ってた安井豊作監督『Rocks Off』。
法政大学の学生会館が大学側の一方的な決定により解体される、その様子を撮ったドキュメンタリー映画、という噂は数年前から聞いていたのですが、法政大学や学生の運動的なことや安井監督と出演の灰野敬二氏との関係なんかをほとんど知らない私なんかが見ても大丈夫なのかしらという不安は、冒頭の灰野さんのピアノをひく姿(この映画のために初めてピアノ演奏をしたと後で知ってびっくりした)を見た瞬間にぶっ飛び、その後もただ黙々と壊されていく建物、黙々と鍵盤を叩く灰野敬二、うにょうにょと仕事をするショベルカーがだんだん恐竜や何かの生き物に見えてくるのに対し顔もまともに映らない灰野さんのシルエットが人間じゃない別のものみたいに見えてきて、関係ないはずのふたつがひとつの映画になる、いやあ面白かった。灰野さんのライブを初めて見たとき笑い過ぎてライブハウスの人に怒られたという最低な過去を持つ私でも、さすがにこの映像には息を呑む。自分が通った大学の一部が取り壊される作品だというのに、上映後のトークで監督自身の口から「所詮建物。」という衝撃発言が飛び出すのも納得なノーノスタルジー感。横移動の瞬間がかっこ良過ぎてついサブイボ。激しい工事の音とピアノの音に包まれて、130分後にはなんか爽やかな気持ちにすらなる、是非また上映される機会があってほしいしその際には是非みなさんに見て頂きたい。
しかししかし安井豊作さんと言えば、「そうか…。豊作なんだ…。」という思いは残るものの、約25年に渡る映画評論をまとめた初の御著書「シネ砦炎上す」がとうとう先日発売され、それはめでたいと12日の夜には出版記念会パーティーが開かれ、梅本洋一先生や丹生谷貴志先生、ブラック&ブルー監督にZ監督など錚々たるゲストがいらっしゃり、そんな方々を前に中原昌也氏とふたりで私なんぞが司会を務めさせて頂いたわけですが、緊張し過ぎて途中ひとり発砲事件なんかを起こしつつ、集まった人たちがほんとに本の出版を祝福してることが伝わる素敵な会に参加できてとても楽しかったわけです。おめでとうございます&ありがとうございました。
日本の知能が集中しまくってたパーティー会場。
中原昌也画伯作品。