2.27
『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』
そう言えばこの作品ってアカデミー賞に全然擦ってないのね、スティーヴン・ダルドリー監督『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』 。前から真面目さが退屈さにしか感じられない気がしてあんまり得意な監督さんじゃなかったけど、今回もやっぱり。
いや911テロで父親を亡くした少年の物語、真面目で当然やしそりゃ辛くて大変な人生だとは思うけど、主人公の少年のあまりに自分勝手でワガママで父親と自分以外を信じない性格についイライラしてしまい、いくらドラマチックな出来事に見舞われようと別にお前の今までとこれからの人生に興味ないし、ってつい。管理人との口汚いやりとりとかが全然笑えないの。こいつが張り切ってひとりで頑張ってるつもりの冒険が実は母親のお膳立てのもと成立していたというオチはちょっと爽快やったけど、多分そういう風に見るためには作られてない。
ここまでがっつり911の映像を使って語るわりにはその体験が彼にとって何だったのかってことが父子関係にしか向いてなくて、最終的に人はみんな父親の息子という話なら、口をきかない父親とトム・ハンクスの父子関係の方が物語として気になる。可哀想な子どもは守ってあげよう!って話なら、知ってる。脚本は一応エリック・ロスさんだそうですが。
しかし私には以前からサンドラ・ブロックという女優がゴツい男が女装した姿にしか見えないんだけど、みなさんにはちゃんと女性として映ってるのでしょうか。
しかし帰りにふらっと立ち寄った服屋さんで店員の男の子から本気で泣きそうな顔して「僕、今日ほんとにいいお客さんに当たってないんですよ…」と言われついたいして欲しくもないTシャツを買ってしまった私は多分監督さんくらいいい人なんだと思う。