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3.12

『TIME』

若者の間に口コミでえらいヒットしてるとの噂を聞いてちょっと気になって、アンドリュー・ニコル監督『TIME』を見に行ってみたら、確かに場内は制服姿の男女がいっぱい、確かに作品はああ十代の頃ってこういう映画好きだよねって感じ。私も18のとき『ガタカ』見たよ。
人間の寿命が25年と限定された近未来、時間が金銭の代わりとなって資本がやりとりされ、富裕層は永遠の命を手に入れるもスラムの人間たちは一日分の寿命を延ばすために働き続けなければならないワーキングプアな設定、ってSFを描いてるようで構造的には現代の日本と同じような世界が舞台、貧民層に生きるジャスティン・ティンバーレイクくんの余命がひょんなことから数百年に延びたり残り数分になったりと常にハラハラさせる展開はなんだか懐かしいB級(でも当人たちは本気で作ってる)感。これを90分にまとめてくれればよくやったと言いたい気もしなくもないが、こんな映画に客が入るのは、まあ『モテキ』がヒットするよりは悪いこととは思わないけど、世の中にはもうちょっと面白い映画があるよと言いたくなる老婆心。
主人公が「搾取された時間を取り戻す!」とかっこいいこと言ったりするから貧しい人間たちが集まって革命でも起こすのかと思いきや、やってることはカップルで金持ちの車を襲ったり銀行強盗したりするだけで(そこで奪った時間は再分配するけれど)、それなら大富豪からの賄賂を断った警察官(最終的に死ぬ)の倫理観の方が正しいんじゃねえのと感じてしまったんだけど。せめてジャスティンくんの頭がもうちょっといい設定にして欲しかった。でもジャスティンくんの坊主&スーツ姿にはだいぶ萌え。
近未来の設定なのに、敵の罠が、車をパンクさせるために道路に画鋲をまいておく、ってのだけはちょっと笑ってしまった。この監督さんは具体的に腕(と言うか肘から下)を使って何かするのがお好きなのだろう。