『恋人たちのパレード』
どんな映画かまったく知らず、ただ「恋人たち」という単語に惹かれて見に行ってみたフランシス・ローレンス監督『恋人たちのパレード』 は、中々良かった。と言うか最近は『おとなのけんか』に続きクリストフ・ヴァルツが出演してるだけでなんか面白く見えてしまう。今回も頭のおかしな分裂病のサーカス団団長を嬉々として演じてらっしゃいました。
大恐慌時代のアメリカを舞台に、大所帯のサーカス団を巡る世界は、狭い列車の中に老若男女、小人やアル中や色んな動物が入り乱れてわいのわいの騒ぐ雰囲気は私好みで、それを見てるだけで楽しかったりもした。がしかし、いくらなんでも、メインとなる新人の青年と団長の妻の禁じられた恋愛物語が動き出すまで焦らし過ぎ。主人公演じるロバート・パティンソンくん(『トワイライト』の吸血鬼)のはにかみショットはあと10カット切っていいからもうちょっとテンポよく映画を進めてくれれば。彼が彼女に惹かれる最初のカットは良かったんだけど、そっから時間かかり過ぎ。
がしかし、この映画が偉大なのは、『戦火の馬』のお馬さん顔負けなぐらい重要キャラの象さんが悲しんでみたり喜んでみたり人殺ししてみたりとすごい演技を見せてくれたところ(情報が少ないので詳細がわからないけど、多分CGではないと思う)。 いくら30年代とはいえ象が脱走したのにみんな呑気過ぎやろと呆れたけれど、利口な象さんだったので無問題。いっそ象と青年の話にすればよかったのに。でもさすがに象を飼いたいとは思わなかったけど。
しゃくれ女優のリーズ・ウィザースプーンが、キレた旦那(クリストフ氏)にがっつり顎を掴まれてて、爆笑した。構成的に現代から過去の時代を振り返るお話なんだけど、若年期演じるロバートくんと数十年後のおじいちゃんが違い過ぎてちょっと切なかった。