5.11
『少年と自転車』
なんか最近ちょいちょい風邪ひくなあ。もしかして体弱いんかしら。
それはともかく、ようやく見たジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督最新作『少年と自転車』。撮れば撮る程「普通」の映画になっていくダルデンヌ兄弟の、最も普通で、最も泣ける作品。ヨーロッパで大ヒットしてるとか某社長が「ハリウッド映画のようだった」とか仰ってるのを聞いてそんなバカなと思ってたけど、ほんとにそうだった。今までの作品で一番好きやし一番泣いた。
ダメ親父に捨てられた主人公の少年はそれでも父親を信じようとして結局最後まで裏切られるのですが、悲惨なはずの少年を見ていても、過去の作品(嫌いではない)の登場人物たちが陥りがちな孤独とは感触が違って。いかにも生意気そうな顔をした赤いTシャツの少年を映画の中で追いつめることに目的が置かれてなくて、とにかく作品全体がおおらかと言うか。珍しく舞台が夏ってのもいつもと違う理由のひとつなのかな。
いかにもな「祈り」や「崇高」とかではなく、黙々と自転車に乗る少年と、少年の里親になる女性が作り出すささやかな変化に賭けられた、わかりにくいことはなにひとつない、途中でロマンチックな音楽まで流れる、本当に普通のいい映画、今ダルデンヌ兄弟さんがこんな映画を作ることはある意味すごく勇気のいることなんじゃないかと思うけど、でも撮ったんだと思うと感動も倍増。来週いっぱいまでだけどみなさまも是非。しかしそんなに大事なら自転車には鍵をかけた方がいい。
リニューアル後のル・シネマさんに初めて行ったけど、喫煙所がなくなったことと元からキレイだったトイレが更にキレイになったことくらいしか変化がわかりませんでした。他に何かあるの?