6.06
『ファミリー・ツリー』
第二の故郷(と勝手に思ってる)ハワイが舞台となれば見逃すわけにはいかぬという軽薄な気持ちでアレクサンダー・ペイン監督『ファミリー・ツリー』を見に行ったら、大好きなアラモアナもカラカウア通りも出てこなかったけど、最終的にはボロ泣き。傑作!とか叫ぶ類いではないけれど、地味にしみじみいい映画でございました(ペイン監督の過去の作品は未見)。
ハワイに暮らすそこそこ幸せな一家の家庭を顧みず仕事に打ち込んできた父親に、妻の突然の昏睡状態や娘の反抗期や遺産の処理や、どうしようもない問題が次々と降りかかり、ジョージ・クルーニー兄貴は始終困惑した顔を浮かべている。そのすべてがきれいに落ち着くわけではないけれど、でも、こういうことってこういうことだよねと静かに感動。苦しい時こそ家族の絆、では決してなく、色々問題が起こってるときに常に娘のボーイフレンド(だいぶバカ)が一緒にいたり、旦那よりもいとこの方が全然妻に詳しかったりするのが良かった。浮かれポンチな日本人観光客にハワイの黒い歴史について考えさせてもくれます(でもあの海を見てたら今すぐにでも飛んで行きたくなったけど…)。娘役の少女たちもふたりとも良かった。
そしてやっぱり、身近な人や生き物が死んでいくってこれくらい全身で動揺することだし映画一本かけて描くべきことだよねと再確認。震災やら殺人事件やらを利用してぱっぱら人を殺しまくる最近の日本映画への怒りが無駄にふつふつと湧いたのでした。そしてやっぱり、できれば親戚とカネの揉め事は避けて生きたいなあともしみじみ。100パー無理やけど。