『ファウスト』
昨夜は、絶対王者フェデラー様、見事ウィンブルドン優勝により世界ランク一位返り咲きに本気で感涙。もうこれでいつ引退されても悔いはないです。娘の双子ちゃんが嫁そっくりなことだけがちょっと気がかり。
以前から乗れる作品とそうでないものがはっきりしがちな監督でしたが、今回はちょっと乗り切れなかったアレクサンドル・ソクーロフ監督『ファウスト』。ヴェネチアグランプリ受賞作品だそうだが、ごめんなさい、全然わからなかった。もちろんゲーテの原作は読んだことない。
冒頭から、時間も場所もわからない不思議な街を舞台にグロテスクな人体解剖が行われたりキチガイ女が膣から卵を出したり女版テルマエ・ロマエみたいなのが出てきたり、ここに住んでる人たちはだいたい極貧なんだなってことくらいしかわからないうえ、悪魔の登場によってぐにゃぐにゃし出す画面、明るくなったり暗くなったりめまぐるしく変わる色調、いやーおかしなことやってはるなあとは感心したんだけど、140分間ただそういう不思議な断片が並んでる風にしか感じられず。もちろん凄まじく美しい瞬間にはっとすることは何度もあったのだけれど(今作が『ダーク・シャドウ』と同じカメラマンというのは確かに驚き)、それが特に映画として面白いかと問われれば微妙の連続と言うか。登場人物が全員なんかどっかうっとおしいってのも見てて疲れた理由かも。もっと原作について知っている人が見るともっとすごい映画として見れるのかもしれませんが。
ただ、映ってる人間の会話と、離れてる人の声と、主人公の心のつぶやきと、その背後でずーっと静かに流れてる音楽と、それらが全部同時に聴こえる音の面白さは半端なかった、が、最近のシネスイッチさんは苦情一歩手前ものの音量の小ささで、無念過ぎました。あんなに空調強めるならその電力スピーカーに使ってほしいす。