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8.13

『ダークナイト ライジング』

怒っている、33歳にもなってこんな映画にちょっと期待してしまっていた自分に怒っている、クリストファー・ノーラン監督『ダークナイト ライジング』。なんかもう、民主党に投票したのに最終的に野田政権になってしまった日本国民くらい絶望的ながっかり感。いや今までも特にノーラン監督の真面目な観客だったわけじゃないけど、『インセプション』はまだ管政権レベルだった。これはちょっと酷過ぎるんじゃないか。これなら『海猿』の方がヒットしてるのも納得、とまでは言わないけれど、まあ、仕方ないんじゃないの。
壮大なテーマとか内容の細かいことをあれこれ言う前に、まず、3時間近い映画の9割以上のシーンが、登場人物たちがぺらぺらと説明的なことを喋ってるだけって、ダル過ぎ(特にあの執事、だいぶウザい)。しかもそのシーンたちが繋がって最終的に立派な物語になるとか映画的な瞬間が立ち上がるとかでもなく、ただほんとにブツブツと並べられてるだけで、しかもその内容が善とか悪とか法とか正義とか崇高ぶってるわりには最後のオチは失笑もののどうでもよさで、確かに公開当時に見たけどやっぱりどうでもよかったからほとんど詳細を覚えてない『バットマン ビギンズ』のことを今更持ち出されても全然意味わかんないし、その割にはヒットしたはずの前作『ダークナイト』はなかったことのような展開で、やっと始まったと思ったラスト10分のアクションも相変わらず下手くそ、せっかくのアン・ハサウェイちゃんのお尻の撮り方もまったくなってないし、『ダークナイト』ではまだ魅力的なジョーカーに惹かれるところもなくはなかったけど、今回の悪者は野性爆弾くーちゃんのバッタもんにしか見えないし(むしろくーちゃんの方が悪そう)。あいつの行為が全て女のためだったと言うにはツメ甘過ぎとか場所の距離感わからな過ぎとか、それ以外にも色々突っ込みどころはあるけれど書き出したらキリがなさそうなのでやめておく。冒頭の、飛行機が紐に吊られてぷらーんとなるところで、一瞬、お、こんなの見たことないとちょっとテンション上がったけど、ほんとそれだけだった。バットマンが意外な程核兵器を雑に扱うのには呆れて笑ってしまった。あんなことして後処理どうすんねん。あと、最後の最後にクリスチャン・ベイルの顔映すのダサ過ぎ。

と、165分もかけてつまんないもん見せやがってとプリプリしながら劇場を出た瞬間、夜の池袋の濡れたアスファルトをアライグマが疾走する姿が目に飛び込んできて、そっちの方が俄然エモーショナルだった。