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8.22

『るろうに剣心』

連日満席との噂は聞いていたので念のため一時間前にチケット売り場に行ってみたらばまさかの満席、水曜サービスデーを甘く見ていたショック過ぎるみんなそんなに千円で映画見たいのか貧乏人どもと悪態つきまくりつつもでもせっかく映画館まで来たんだからともったいない精神で、隣の劇場で10分後に上映だった大友啓史監督『るろうに剣心』を見てみましたよ。さすがに原作コミックのタイトルくらいは聞いたことあるけど未読、この監督さんのNHKドラマもほとんど見たことないでござる。
映画が本格的に始まる前の、主人公がまだ人を殺していた闘いの場面で、普通に、アクションシーンとしてはノーランなんかより全然上手くてわかりやすくてかっこよくていいんじゃないのと一瞬テンションは上がったものの、それ以外の、室内で普通に会話する場面や人間のやりとりになるとがっくりきてしまったのはまあ想定の範囲内だったのでそこまで怒る気にもならなかったのだけど、いかんせん、いくら漫画が原作とは言えお話がちゃち過ぎて。今時「仮面ライダー」でももうちょっと捻った勧善懲悪するんじゃないかってくらいそのまんまのヒーローもので、ひとり敵を倒したら次の強い敵が出てきてって、途中からファミコンのゲーム見てるみたいな感覚に。それぞれの人間関係がバラバラ過ぎるとか面白そうなキャラクターを出しときながら全然活かせてないとか、アクションが冴えてただけに脚本の残念さが残念だった。
がしかし、この映画最大の失敗は、ヒロインの武井咲より蒼井優より、主人公の佐藤健が最も造形的に美しいという事実が露呈してしまったこと。ほんとにお肌つるつるで、ござるとか言ってもなんか許される可愛らしいフィクショナルなビジュアルは貴重だし、彼のお芝居とアクションはとても良かった。ひたすら竹中直人化する香川照之は、ずっと歌舞伎に専念するのがいいんじゃないかな。さすがに周りのお客さんからも失笑が漏れてた。