『トガニ 幼き瞳の告発』
昨日とは打って変わって大人な映画を見た、ファン・ドンヒョク監督『トガニ 幼き瞳の告発』 。
韓国の聴覚障害者学校で教員たちによる生徒たちへの性的虐待が行われていたというショッキングな内容は実話に基づくお話らしく、予告を見た時点でだいぶしんどそうだなあと感じていたけど、実際作品自体もかなりヘビーだし虐待の様子の描写はだいぶショッキング、でもそれが悪趣味なグロテスクにならないセンスのよさだけじゃなく、その学校に赴任してきた新人教師が恐ろしい事実に気付き子どもたちと学校を告発するに至るまでは結構あっさり描かれてて、映画のほとんどは法廷劇なんだけど、それが大変お上手で、裁判中の手話の使い方もお見事、重い内容とテンポよく進むドラマのバランスの良さに思いっきり引き込まれた。ガンガン進む不条理なやりとりの中、そこでふと聴こえないはずの音楽が聴こえた瞬間には涙を抑えることができず。最終的に簡単な勧善懲悪に陥らず、残酷なくらい救いのないラストも、子ども騙しじゃない感じで良かったです。霧に包まれた世界の中で子ども達が見てしまったのを私たちも見なきゃいけない、見終わったあとめっちゃブルーになったけど。内容が内容だけに見る人によってとても複雑な気持ちになることもあるだろうけど、それでも、いい映画だと思います。
まあとにかく出てる役者がみんな素晴らしく、この事件を知り憤りの余り自ら映画化を熱望したという事実も役柄そのままな主演のコン・ユの地味な芝居にもぐっときて、ラストの乱闘シーンにも思いっきり涙。虐待された子どもたちの真に迫り過ぎな芝居も良かったけれど、一番のワルを演じる校長と理事長のハゲ親父双子ってのが中々ビジュアル的に衝撃で、深刻なシーンでもこいつらが映るだけで気色悪過ぎてつい笑ってしまった。寮長のおばはんもそうだったけど、よくここまで本当に根性汚そうな顔の人見つけてきたなと非常に感心しました。主人公のオモニを演じていたパンチパーマのおばさん(ええヤツ)は多分ウチの親戚にいる。