4.19
『すーちゃんまいちゃんさわ子ちゃん』
誤解のないように言っておくと、原作漫画益田ミリ「すーちゃん」シリーズは、都会の片隅で地味に真面目に仕事をしながら生活するアラフォー独身女性の現実をかなりシビアに丁寧に描いた名作で、本気で泣けたりするんですよ。なので、映画化されると知ったときはがっかりしつつもそんな酷いものにはならないんじゃないかとも思って、御法川修監督『すーちゃんまいちゃんさわ子さん』 を見てみたら、なんかもう、原作の魅力を全部削ぎ落としたらこんな映画になりましたって感じの散々たる結果に。つまらない、だけじゃなく、そのつまらない理由を考えてるうちに鬱々とした気持ちにすらなってきて。今どきの、三十越えても結婚もせず彼氏もいない女にはとりあえずオシャレカフェと猫と矢野顕子と「頑張らなくていいんだよ」って言葉さえ与えてりゃいいんだろうという安易な発想は、まんま劇中に出てくる嫌味たらしい男上司とやってることが同じじゃないのか。女にも頑張らせてくれよ。死んでくれ、って言われるぞ。
あと、別に肉食系であることが正しいとは言わないけれど、なんでいい歳した女性から性的なものを不自然なほどに遠ざけると一気にホラーになるんでしょうね(『新しい靴を買わなくちゃ』とかさ)。キスひとつで大騒ぎする姿を見てたらなんかぞっとしてきて、妖怪カマトトか。
あと、柴咲コウ、本当に今からでも遅くないから、前髪ぱっつん&オシャレのポイントは個性的な靴下です系森ガール路線は宮崎あおいに任せて、軌道修正した方がいい。まったく向いてると思えないし、あの拭いきれない池袋感(=ヤンキー臭いダサさ)が嫌いじゃなかったのに。