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12.02

『ニシノユキヒコの恋と冒険』

親切な御方のご招待により、2月8日(土曜)公開予定の井口奈巳監督最新作『ニシノユキヒコの恋と冒険』 を一足お先に拝見。多謝。
天性のモテ男なのになぜか幸せになれないニシノくんと、そんな彼に惚れてしまった女たちを巡るあれこれの物語、これは川上弘美の原作小説が大好きなもので、あのニシノユキヒコ像に主演が竹野内豊ってちょっとダンディ過ぎるかなと不安な部分が少しあったのですが、見てみてびっくり。萌えまくり。観賞後にはすっかりニシノくんに惚れてしまった女の一員に。どこか現実離れしたチャーミングな雰囲気にあの腹筋はかなりヤバいし(脱ぎっぷりもナイス)、山田宏一を立ち読みする姿、猫を抱いて眠る姿……(このキャラクターへの反応は男女別れるところだろうけど、モテない男ほど怒りそう)。
とうっとりするのはもちろん竹野内の姿にだけじゃなく、相変わらず恋する女の子の撮り方は抜群に素敵で、7人の女優が全員ほんとにきらきらして見えるし(髪の毛を触られたときの尾野真千子の表情ったらもう)、長回しで魅せるラブシーン、長回しで見せるさりげないけどめちゃくちゃ丁寧に撮られてるなんてことないシーン、意外なところで鳴り響くポップなピアノ。特にわかりやすいクライマックスがあるわけじゃなく、久しぶりに二時間があっという間に感じる映画だった。
しかしただラブリーな恋愛モノってわけじゃなく、原作もそうだけど、実は怖い。もうそこには存在しない人間について、本当か嘘かもわからない女の記憶だけで語る世界は常にどこか不穏で(忘れた頃に現れるあの楽隊が奏でる音楽とか…)、ニシノくんの存在と周りの女たちと夏の幽霊ってのがだんだん区別つかなくなっていく、ファンタジーのようなホラーのような。そのバランスと広がりにひたすら感動したのでした。
これは公開されたらもう一回見に行くなー。みなさまも来年まで覚えといて、これは是非。