ありがとう下高井戸シネマさん、しかも火曜日はサービスデー、ということで、公開時見逃していた大九明子監督『モンスター』をようやく（掲載されてるスタッフがすべて女性で、頼もしいHP）。
「モンスター」とあだ名を付けられるほど醜い容姿に苦しんだ幼少時代を過ごした女が、整形手術によって美しい顔と身体を手に入れ、過去への復讐を粛々と進めていく…。人気らしい百田尚樹の原作は全然知らないけど、復讐と一途な愛が絡まって、中途半端にトラウマチックな物語にまとまってないのが気に入った。彼女の存在と行動は、過去に自分をバカにした奴らへの復讐というより、醜かった自分への復讐（だから死ぬまで過去の自分を否定する。中途半端に愛情なんて持たない）なのよね。せっかくのプロポーズも、自分が幸せになるなんて許せないのよ。だから、ラストカットはだいぶホラー。
コテコテの特殊メイクなんかもあり、若干トンデモになりかねない雰囲気を、大九監督の落ち着いた演出であっさり回避。いかがわし過ぎる大杉蓮の外科医は明らかにコメディだったけど、泣ける村上淳や、ほぼ「ヤラせろよ！」しか発していない斉藤陽一郎が良くて。女同士の暴力沙汰もだいぶ私好みでした。図太いブスって、見てて爽快でいいよね（でもあんなジェイソンみたいな状態で職場に来られたら誰だって引くと思う…）。
そして主演の高岡早紀、ブサイク時代から完璧な美女の姿までひとりで演じ切るパワーと、妖艶な美しさにはもちろん深く感動したが、やっぱりあれね、未だ健在な神々しいほどの巨乳が。子ども産んだ40代があの体って、ある意味一番モンスター。