『カミーユ、恋はふたたび』（12年）が好きだったので、ノエミ・ルヴォウスキー監督『マチルド、翼を広げ』も見に行ってみたら、これもまた大好きな映画であった。オープニングのタイトルで既にめちゃかっこよし。
精神的に不安定な母親とふたり暮しのマチルド9歳。母娘の愛の過剰反応がゆえに色々大変なふたり、大人も子どもも生きづらい、しんどい、哀しい、でも多分なんとかなる。なかなかヘビーな彼女たちのそんな時間を現実的過ぎずファンタジー過ぎず描くんだけど、やっぱり9歳の女の子にそんな現実をひとりでサヴァイブするのは過酷なのは当たり前で、そこに現れるやたら辛口なフクロウのお友だち、無口なガイコツ、と、少女は必死でバランスをとって戦う。その健気な姿に涙腺が緩む。日頃の怒りが爆発してついに火を放ってしまうときのあの怒りも、そしてああいいうときの友だちの存在も、母親の娘だったならみんな堪らないものを感じるんじゃなかな。違うのかな。
しかしフクロウがだんだんとほんまにおっさんの声で話してるように見えてくるから不思議。あのサイズ感たまらん可愛い。そしてよく考えると結構ろくでもない父親もマチューが演じてるとすっごい思慮深くてええ人に見えるから不思議。