2.14
『天才作家の妻ー40年目の真実ー』
これはグレン・クローズ姐さんにアカデミー賞あげて欲しい、ビョルン・ルンゲ監督『天才作家の妻』。
ノーベル文学賞を受賞するほど高名な作家ジョセフを夫に持つ妻ジョーン。40年間彼を支え続けた彼女には実は長年彼のゴーストライターであるという秘密があり…、という、かなりスリリングな物語。
この天才作家ジョセフが、もう、「姐さんが殺(や)らないのなら代わりに俺が…!」と鉄砲玉を志願したくなるほどにムカつく野郎で、ジジイのくせに食欲も性欲も貪欲、お調子者で外面はいいけど女と子どもには強く出る、老害あるあるマン。もちろん大いに悪意を持って皮肉たっぷりに描かれてるんだろうし、それをそのまま演じられるジョナサン・プライスも凄いとはわかってるけど、あまりのリアルさにまんまと超イラついた。
女性作家なんて鼻で笑われた時代、夫の影になるしかなかった女の苦しみ、年月を重ねて自己犠牲の理不尽さに気づく悲しみ。「なんで俺と結婚したんだ!」とキレられて、「わからない」と答える妻の姿に、夫婦にとっての時間の流れとは……、といたたまれなくなってしまった。未婚歴39年ですけど。
クライマックスでもある受賞式のスピーチ(これがまためっさムカつく)を聞く姐さんの表情は一見の価値有り。
若い頃のジョーンを演じる女優さん、落ち着いた顔も低めの声もいいなと思ったら、グレン・クローズの実の娘と知り、大いに納得。