4.15
『ラーヤと龍の王国』
もはやパルコ(心斎橋)の映画館もイオンシネマの時代なのかとビビりながら、ポール・ブリッグス他監督(監督の仕組みがようわからん)『ラーヤと龍の王国』。いつかのアジアのどこか(やたらトムヤムクン食べてたから多分タイ近辺)、かつては平和だった王国を取り戻すために少女が旅に出て戦う物語。
正直前半はだいぶ緩く、旅の目的であった龍の石もあっけなく見つかるし肝心の龍のビジュアルが思いの外トカゲやしこれはどうなんだと思ったけれど、最終的には結構ギャン泣きしたので無問題。
いやしかし、その王国や宮殿の細部の描き込み、龍の虹色の繊細さ、奇跡のような水の表現など、クレジットの長さも納得のディズニーの本気をビンビン感じるアニメーションに対してこの物語の単純さ、伏線なんか知るかとばかりにひたすら「他人を信用しろ!」「仲間と連帯を大事にしろ!」という反トランプ全開のメッセージを伝えることに終始する愚直さ、そのアンバランスさの意味を改めて考えると、痺れますね。全世界のシネコンを敵に回してもこんな映画作るんだから、さすがです。特段に神秘でもなんでもない東洋への視線も良かった。
主人公とそのライバルが女の子だったり、片親の存在になんの説明もなかったり、そうしたことが極めてフツーの前提として進む世界で、嬉しかった。オークワフィナの龍も最高だった(でも人間化したときの姿は微妙過ぎた)。
同時上映の短編作品『あの頃をもう一度』、雨とダンスが喚起する愛の記憶、BTSも担当したというダンサーによる振り付けは見てるだけで楽しくなるような多幸感でニコニコ(ここでも主人公はナチュラルに黒人女性と白人男性のカップル)。