『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』
いつのまにか新作が公開されがち(そしてすぐ終わりがち)なジェームズ・グレイ監督『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』。全然宣伝されてないわりにかなりの豪華キャスト、これがしこたま面白くて素晴らしかった。是非見てほしい。
80年代のNYはクイーンズ、白人中流家庭の次男である12歳のポール君の、お爺ちゃんや黒人の友だちを通して描くひとつのアルマゲドンタイム、監督のほぼ自伝的作品だそうな。それは非常に感動的なんだけど、このガキ(ポール君)がやんちゃにもほどがあって、母親に対する態度の悪さには「こんな奴一回ボコボコにしたれ!」と思っていたら、そのあたりも監督の幼少期をかなりリアルに再現していると聞いてビビる。さすがにディナー中に出前はあかん。
彼が唯一心を開いているお爺ちゃんとのやりとり、そこで教えられる世界の不条理と高潔に生きること。でも、こんな辛い状況、逃げたくもなるわね。
話変わるけど、あの公立学校の教師が私が43年間の人生で最も殺意を覚えた小6のときの担任そっっくり過ぎて、そして私もジョニー君ばりに嫌われてたのに反抗したり悪いことばっかりしてて(さすがにハッパは吸ってないけど…)、あの教師と子どもたちとのやりとりは当時を思い出して胸が痛かった。先公は悪。
その後、お爺ちゃんがポール君に転校を進める話の中で、自分たちがユダヤ系移民であること、若い世代には自由に生きて欲しいことを語るとき、在日三世の私は仲の良かったおばあちゃんのことを思い出したりしてちょっと泣いた。80年代レーガン政権下アメリカとは全然違うけれどなんでかやたらと近い映画に感じた。私も父親にベルトでしばかれたもんよ。
勝手にもう死にかけと思ってた(失礼)アンソニー・ホプキンスがめっちゃ元気で、めっちゃ良かった。アン・ハサウェイはいい女優さんになったねえ。