『Chime』
世界初の動画流通の枠組みであるDVTプラットフォーム「Roadstead」さんにて購入、オリジナル作品第一弾として作られた黒沢清監督作『Chime』を鑑賞。と書きながらもその仕組みをイマイチ理解出来てるか自信はないのだけれど、とりあえず全世界999個限定のライセンス発売期間はは5月11日までですって。買っといてよかった。君たちも買いなさい(この記事が一番わかりやすかったかな。でもまだわかってないけど)。
吉岡睦雄演じる料理教室の講師・松岡が、ある日「チャイムのような音が聞こえる」と訴える生徒の不可解な行動に遭遇して以来、松岡の日常も少しずつ狂っていく…。
冒頭から、料理教室なのにまったく温かみのない教室の風景、主人公なのにまっったく好感を抱けない松岡(吉岡睦雄マジ最高!)、映画が動き出す前から不穏さしか感じない松岡の家庭、あの田畑智子はギャグなのか小津なのか。「日常が狂っていく」的ホラーに対して「いやそもそも日常が狂ってますやん」とツッコミかけたが、本当の狂気はそんなもんじゃなかった。あの、唯一撮影場所がわからない橋(あそこ以外は全部探し当てた友人、ほぼ都内近郊か)を渡った後、ああこの人は二度と橋を渡る前には戻れないんだな、戻る気もないんだなと理解。めっちゃ殺すやん。なんでこんな人間を撮ろうと思ったんだ黒沢監督は…ってことが一番のホラーとも言える45分。監督がかなり自由に作ってるな楽しそうだなってのがすっごく伝わってくるのに、それでこのぶっ飛び具合はさすがというか一番の狂人というか(それでいて御本人がこの世のものと思えないくらい紳士ってのがまた興味深い…)。
そんな、ちょっとご無沙汰だった完全にオリジナルな黒沢清感覚は絶対に体験した方がいい。一回購入するとこれ引っ提げて全国の料理教室で上映会とか出来て楽しそう。