『鬼平犯科帳 血闘』
気持ち悪い映画を見たあとはスカッと山下智彦監督(山下耕作監督の息子さんなのね)『鬼平犯科帳 血闘』だよね、と母を連れて映画館へ。初日舞台挨拶まで見てきたぜ。染五郎くん、美しいうえに話すことまで立派で良き。
いやTVシリーズの鬼平一回も見たことないしどんな話かも全然知しらんし…とやや不安を抱きながらの鑑賞だったが時代劇映画としてそれなりに楽しめたのでした。個人的に時代劇は映画もドラマもデジタルになった瞬間見る気が起きなくなってしまっていたけど、さすがに松竹京都の本気を感じる作りになっていて、上映中突然場内が明るくなって「本来の画角と違う上映をしてしまっていた」とまた最初から上映し直すのも納得かと(舞台挨拶の日になんちゅーミスや)。
20年以上続いた吉右衛門の跡を継ぐプレッシャーと闘う松本幸四郎を暖かく見守る観客たちの雰囲気、染五郎の意外なほど良い演技、想像の10倍はグロい描写で描かれる親の因縁、殺陣も上手いとは感じなかったがムカつくほど悪くもなかった。北村有起哉もえらい気合い入ってた。あと、柄本明がインチキな役で出てくると一気にいかがわしくなって丁度いい。
ただ、映画は間に合わない表現だとか言いますが、この鬼平さすがに間に合わな過ぎじゃないか。凶悪犯による一家惨殺には、まあ火付盗賊改方長官なんだから後から現場に来るのは仕方ないとしても、敵の一味なのに鬼平に惚れてしまったおりんは鬼平が介入する間もなく敵の親方にあっさりと殺され、自分の身代わりに敵陣に乗り込んだおまさ、そのことを知って慌てて鬼平も駆けつけるもおまさは明らかに敵の男どもの被害に遭ったあとの状態(顔の傷、衣服の乱れ…)、それでも「無事でよかった」と安堵する鬼平。いや全然無事ちゃうやろ、と突っ込んでしまったんだけど、鬼平っていつもこんななのか、それとも何か意図があるのか、鬼平初心者の私には確信が持てなかったので、次回作も見なければ。