5.23
『ラジオ下神白』
昨年の山形では野外上映の寒さに怖気ついて見逃していた、小森はるか監督『ラジオ下神白 あのとき あのまちの音楽から いまここへ』をようやく。
福島県はいわき市にある下神白(しもかじろ)団地には11年の東電福島第一原子力発電所事故によって浪江・双葉・大熊・冨岡町から避難してきた方々が暮らしている、その団地の存在すら私は今回初めて知ったのだが、そこを拠点に16年からそこに暮らすひとたちにまちの思い出や馴染み深い曲について話を聞きラジオ番組風CDとして届けてきたプロジェクト「ラジオ下神白」があって、19年からは思い出の曲を演奏するバンドを結成したりもして、「伴奏型支援」なんて活動をしてる人たちがいるなんて全然知らなくて、その支援活動を追ったドキュメンタリーである今作を見て色々驚いた次第。
アサダワタルさんという「文化活動家」を中心に数名のボランティアが団地で暮らす人々(主に高齢者)に個人的な過去や記憶の話を聞く、みなさんの歴史が熱い。思い出の曲を聞く、それぞれの想いがエモい。福島での記憶じゃなくても福島で生きてきた人たちの記憶。音楽って異様に記憶を喚起するしさ。
高齢者に過去の話を聞くってのは認知症対策にもいいって介護資格を取得したレギュラー(あるある探検隊)も言ってたし、こういう形で被災者の人たちと関わる(コロナ禍もリモートで!)、ボランティアの方々は立派過ぎて眩しい。それに尽きる。
それにしてもここで生活する高齢の方々は元気。特に90歳の誕生日を祝われていたワイン愛好家の女性、若々し過ぎて年齢ごまかしてんじゃないかとすら思ってしまった。みなさん長生きして頂きたい。