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6.12

『マッド・マックス フュリオサ』

そない熱心なファンではないけどタイミングが合う上映がこれしかなかったのでTOHOシネマズのショボIMAXで、ジョージ・ミラー監督『マッドマックス フュリオサ』。前作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に登場した女戦士フュリオサの若き日の物語。

といっても前作同様物語はあってないようなもの、今回もどデカい車とイカれたバイクと狂った奴らが乱痴気騒ぎでとにかく激しいアクションの連続、監督は80歳というご高齢でよくこんなバカバカしいこと思いついて、それを実行するなと笑えたし、前作とは違うものを作るって思いは受け止めた、がしかし。

冒頭、幼き日のおかっぱ頭のフュリオサちゃん(超美少女)がさあ、禁断の林檎だか桃だかを獲ろうとしてるけどさあ、まずガキが敵が目の前にいる危険な場所で遊ぶなよ…。お前があそこに行かなければ母親を殺されることもなく自分も拉致られることもなかったろうに…と思ってしまって、そのあとの140分近くの間フュリオサがどんな辛い目に遭っても「原因作ったん自分やしな…」って考えが頭を離れず、無念…。いやまあそれはさすがに極端だとして、いくらフュリオサが魅力的なキャラクターであっても本当に「彼女のエピソード」から映画が一歩も広がらず、物語が単一で、中盤で飽きた。前作には途中ウォー・ボーイズのひとりが女たちと出会うことで変化していくようなドラマがあったけど今回そういうのはなく(今回途中で現れた味方してくれるジャックの存在が中途半端)。敵役クリヘム(クリス・ヘムズワース)が権力者として散々悪事を働いたあとボソッと「飽きた」と呟くシーンで、「お、こっから新たな展開が起こるのかな?」と期待したけど、そのあともやっぱりクリヘムはめっちゃ暴力的な権力者だった。なんだったんだあれは。

そして個人的に気になったのは、ちょっとフュリオサが「美少女」過ぎる。幼き日を演じる子役ちゃんはAIだか合成だか知らんけど超美少女、彼女が成長した姿の肉体は激華奢なアニャ・テイラー=ジョイちゃんまで、あまりの美形っぷりに美少女戦士の戦闘ものみたいだなと思ってしまったし、初期宮崎駿(ってナウシカもラピュタもちゃんと見たことないから完全なイメージですが)感が否めず、なんだかなあ。なのでフェミニズムを描いた映画としての喜びもかなり薄かったす。改めて世界で1、2を争う美女なはずのシャーリーズ・セロンがなんの違和感もなく超絶カッコよかったことを思うと、彼女は偉大だ。

それでもこんなに暴力描写が多くて人が死んだり切ったりと血が流れるのに映画が下品だったりグロかったりしないのはさすがだなと感心致しました。あの、両手足鎖バイク繋がれを見た瞬間「牧口雄二か!」と一瞬目を背けたけど、そうじゃなくて安心した(牧口雄二監督がダメなわけじゃないけどさすがにあれは正視できんのよ…)。

と、イマイチ乗り切れなかったのは、この前日にジョディ・フォスター主演ドラマ「トゥルー・ディテクティブ ナイト・カントリー」の最終話を見て、あまりの凄さに感動が止まらず、そっちにの脳みそを占められていたかも知れない。あの展開はマジでヤバかった、U-NEXT加入者は絶対見て。