7.09
『WALK UP』
「最新作を見たところで今回も前回と同じような感想なんだろうな〜」と思いながら、ホン・サンス監督『WALK UP』を見に行って、やっぱり前回と同様「わけわからんことしてはるなあ」と思いつつもつまらないわけでは決してないという自分でもよくわからない感情の海に放り出されたのでした。
小さなビルの所有者であるインテリアデザイナーの女性、そこを訪れた映画監督の男とその娘。1階はレストランで2階は料理教室で…という説明のあと和やかにワイン片手に語り合う3人、用事ができたとその場を離れる監督、ひとりでワインを買いに行くと外に出た娘…とこれ以上内容を書いても意味がないようなあるような映画は、ホン監督作では直近に見た『草の葉』(18年)と近いのかな。その場所以外の共通点がない複数の男女のお話、観客も劇中のキム・ミニと一緒にその一部を覗き見してるような。いや『WALK UP』でその役割がイ・へヨンだとするとちょっと重いか。
ある女の前では体調を考慮して菜食で、もしかして韓国人が肉をやめるってことは結構な重病なのか?タバコも電子になってるし、と思ったら階が変わればもりもり肉を食べている。この建物の外でどんな診断を受けてどんなやりとりがあって相手の女性が変ったのかは知る由もなし。いや各階ごとに別人なのかはたまた並行世界なのか、実は壮大なスケールの映画なのか?でも今までのホンさん映画にあった唐突なズームとかジャーンっと響く大袈裟な音楽とかはなく、モノクロ画面も相まって今まで以上にシックな落ち着いた印象…。
映画として全然かっこよくない、スケベ心のないところが大好きやけど、最近は果たしてどこまで行くのか怖いもの見たさみたいなところもある。