BLOG

8.09

『密輸1970』

この暑さで身動きがとれないところに、元々希少な私のやる気をすべて削ぐようなウンザリする事件が起こって、本当になにもかも嫌になって自宅でひとりやさぐれてたけど、気がつけば44歳も残り少なくなってるやん。なにこれ。諸々信じられへんけど現実を受け入れるしかないのか…。
そんな状態の中見に行ったのがいつだったのか完璧に忘れてるけど、見る前はかなり楽しみにしてたのは覚えてる、リュ・スンワン監督『密輸1970』。あの傑作『モガディシュ』(21年)の監督の新作、しかも今回は女たちの物語、期待しない方が難しい。
って感じで胸を躍らせてたんですけど、いざ映画が始まると前半1時間の緊張感のないダラダラした退屈なドラマ運びにだいぶ困惑。キム・ヘスがひとり張り切るのはまあいいんだけど、映画が動き出すまでの説明パートにしては長過ぎたかと。大切なはずの父親が超あっさり死ぬのはちょっと笑った。
ただ後半になって、誰が本当の悪者かというサスペンスが動き出してからはノリノリに面白く、お気に入り俳優チョ・インソンのキメキメのアクション、海女さんと悪党の水中バトルアクション、サメ映画としても見れる展開も良かったが、係長の正体がマジで救いのない最低野郎ってのが殺し甲斐があっていいなと思った(韓国男っぽいなとも思ったけど…)。倒されるときには本気でスッキリ。そこで生まれる女たちの連帯や和解、効果的な70年代歌い上げ系歌謡曲。自国の過去を舞台に、国家権力と闘う抑圧された女たちの姿をこんな風に描けるのは、文句が多少あれど、やっぱり凄いと感心するしかない。
しっかしキム・ヘス、53歳にしてあのビジュ、スタイル、10歳年下のイケメンの相手を堂々とこなすスタイル。見習いたいような、たくないような。