『ぼくのお日さま』
最近の猛暑で外出する機会を厳しく制限、見にいく映画もかなり限定していたけれど、たまには何も知らない監督の何も知らない作品も見ないとねと、奥山大史監督『ぼくのお日さま』を見たんですがね。
『ナミビア〜』と同じくスタンダード画面に映る、たっぷりと雪の積もる小さな田舎町の古ぼけたスケートリンク、キラキラと優しく美しい光、抒情的なピアノの音。「了解、監督さんはこういうのがご趣味なのね。雪景色と池松くんかこんなシチューのCMあったないやあれは松坂桃李か…」くらいの興味で見てたんだけど、最終的には頭の中が「????」でいっぱいになってそののち沸々と怒りが湧いてくるんだから、映画って不思議ですね。
周囲に馴染めない吃音の少年(小学生)が華麗にスケートを滑る年上の少女(中学生)に心奪われ、そのことに気付いた池松くん(スケートのコーチ)がふたりでアイスダンスに挑戦することを提案、3人はだんだんといい感じのチームになっていき、楽しい時間を共に過ごす。しかし突然、本当に最低なきっかけで、少年は楽しみにしていた舞台でスケートを披露することは叶わず、池松くんは仕事を辞めて荷物をまとめて町を出ていく。以上。
監督さんはまだ28歳とお若い、歳上のプロデューサーとか誰も何も言わなかったのかな、これはちょっといただけない。
いや時代設定を微妙に昔(20年くらい前?)にしたところで、当時のクィア(異端者)に対する偏見の目は現代と比べて酷かったってのはわかるけど、この展開&終わり方じゃあ当時の差別感覚を垂れ流してるだけでマジで何がしたいのかわからん。この映画の中では吃音者も同性愛者も最終的に切り捨てられてるだけなのに、なんで出した?その理由がわかる人マジで教えてほしい(HPのコメントは超有名人気者たちの絶賛で埋まってるけどこの人たちにはわかったのか…)。ちょっと検索すると「優しい映画」ってコメントが大変多いのだが、何がどう優しいのか本気で教えてくれ。
一見キラキラした、岩井俊二か新海誠か的な光に包まれた世界には味方しかいないように見えても、あなたが気付いてないだけで、この世界は今も昔もマイノリティには生きづらいんだ、とか言いたいなら、それはキモい悪趣味なのでダメです。
監督のwikiを拝見すると、若い頃是枝裕和監督に評価されて映画の道を選んだとのことですが、後継者になる素質めちゃくちゃあると思うよ。こういうことしたがるところが。