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1.19

『アット・ザ・ベンチ』

広瀬すず、中野太賀、岸井ゆきの、岡山天音、荒川良々、森七菜、神木隆之介など超豪華俳優が出演してる日本映画が現在公開中だなんて知らなくて、存在を知ってすぐに見に行ってみた奥山由之監督『AT THE BENCH/アット・ザ・ベンチ』
奥山監督は超メジャーCMや人気ミュージシャンのMV、ハイブランドのファッションフィルムなどを多数撮ってるガチ人気監督で、人気カメラマンでもあるらしく、次回作には新海誠作品の実写化が待たれる超要注目の方みたいです。その監督が仲間たちと作り上げた自主映画の今作は、川沿いにぽつんと佇む小さなベンチを舞台に、人々の何気ない日常を切り取った5編からなるオムニバス作品となっております。
これがもう、見事に今泉力哉と坂元裕二を煮詰めたみたいな映画で、久しぶりに上映中めっちゃ時計見てしまった。86分が長い、しんどいよ。面白いとか面白くないとかじゃなくて、端的に言って引くほどダサい。これを二十数年前の高校生の私が見てもダサいって感じると思うダサさ。
「ジャームッシュのよう」と誉める人がいるんだけど、ジャームッシュも私が高校生のときからリアルタイムで素晴らしい監督やったけどもう72歳か。もちろんまだまだ現役ですけど、数年前のKOCのOP映像で今泉監督が『コーヒー&シガレッツ』のパロディやっててだいぶ痛かったことを思い出すと、ジャームッシュのクールなルックがかっこいい的な感覚なんだろうけど、今の三十代人気監督がこれかと思うとなかなか闇が深い。
タイトルやクレジットも全部ローマ字でわかりにくいうえ、この微妙なゴダール感はゴダールの真似ではなくゴダールの真似をした映画の真似をしてるだけなのも一目瞭然で、教育の敗北なのかなんなんだこれは。
若い男女がベンチに座って会話してる姿を長回しする勇気もなく無意味なカット割で見せて、すでにそこにはない、取り壊された公園についてかすかな喪失感を共有しながら小粋な会話を展開する柔らかい時間。それを有名俳優を使って撮る。
私が若い頃見てた同世代の自主映画たちはもうちょっと真面目だったと思うんだけど、それらと比べて明らかに後退している。映画の底が抜けただけでなく時空まで逆行し出してるのか?何故こんなことが起こっているのか、その真相を知るために更に深入りするパワーはない。