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3.05

『ゆきてかへらぬ』

16年ぶりの新作ということなので、根岸吉太郎監督『ゆきてかへらぬ』を見に行く。
大正時代、中原中也と小林秀雄に愛された女優長谷川泰子、実在した男女3人の愛と青春の物語。っつっても中原中也についても小林秀雄についても全然知らないに等しいので、ドリカム編成男女のあれこれかと思いながら鑑賞。
それはもう74歳の監督によるセットやロケを巧みに使い分けるケチのつけようのない演出に私なんかが今更何か言えることもなく、きどったセリフの会話劇での128分が特に退屈なこともなく楽しんだのだけれど、でも見ながら、脚本的にこういう世界(愛に生きた女が発狂する…的な)は本当にもう終わりなんだなってことを実感したり、「まごうことなき映画」が堂々としてるような端正な演出をする監督もこれから登場するとも思えないし、色々と感じることもあったりもした。もちろん根岸監督にはまだ撮り続けてほしいけれど。
主演の広瀬すずクン、体当たり演技を頑張って悪くはないんだけれど、この役を演じるにはちょっと健康的過ぎたか。お肌のハリが不幸から程遠すぎる。つるつるしてない、やや乱れた岡田将生が最高過ぎて。初めて見た木戸大聖という俳優さんも子どもっぽいけど色っぽい、ぼんやりとしたイメージの中の中原中也に合っていて良かったと思います。
全然知らない名前ばかりのスタッフクレジットの中、伊賀大介って実はすごいのね。