『#真相をお話しします』
何気にこの監督の作品初体験、豊島圭介監督『#真相をお話しします』。タイトルから勝手に既に懐かしいガーシー的なものを想像してたら、全然違った。
インターネットの暴露チャンネルでスピーカー(話し手)に選ばれると、視聴者の興味を引くネタの提供と引き換えに投げ銭を獲得できる。衝撃的なネタであればあるほどその金額は数百万と膨れ上がる世界(こういうサイトが実在するかどうかもあんまよくわかってない中年)。
冴えない警備員の菊池風磨は人生一発逆転を求めスピーカーになるチャンスを狙う、その間にも他のスピーカーから暴露される事件の真相。その話がオムニバス風に3話ほど語られる前半は、監督の安定しつつも不穏な雰囲気を感じさせる器用な演出と、伊藤英明の素晴らしい演技や伊藤健太郎の嫌な存在感に好印象。やや無茶苦茶感のある脚本でもここまでスマートに見せるとは、さすがに上手い(多分下手くそな監督だったら見てられない話)。
そして後半、一気に展開が急転し、まったく予想外の方向に映画が進み出す。これはさすがにまったく想像してなかった方向で、でも現実の社会を思うとまったくなさそうな話でもなくて、軽い気持ちでフィクションを楽しんでいた前半とはそういう意味でもまったく違う(確かにこの男の子たちは非常に不憫で、復讐したいという気持ちは理解するけど、なぜその気持ちが親たちに向かわないのかってのは大きなハテナ?として頭に浮かび続けたけど、まあ原作通りなら仕方ないのか)。
ただ、今まで他人の語るネタを面白がって投げ銭までして過激な話を求めてきた匿名の顔も見えないネットの中の観衆がその卑怯さを問われる、までは、あんまり面白くないオチだけど理解はできた。が、こういう問いかけで終わる系映画(日本映画あるある)は毎回「いや問う前にお前ら(作り手)の考えを見せろ!」と思ってしまうので、もう一歩踏み込んでほしかったかなという贅沢な不満は残った。
でも全体的には、風磨も頑張ってたし、演技初体験という大森元貴も器用で良かったし、原ちゃん(timelesz)が見れて嬉しかったし、若い人たちに囲まれてこういう映画を見るのはそれはそれで楽しいので良し。中条あやみだけがやや不憫か。