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9.27

『海辺へ行く道』

原作漫画のことは全然知らなかったんだけど、横浜聡子監督『海辺へ行く道』は大変素晴らしかった。久しぶりに映画見ておおらかな気持ちでにこにこ満たされた。
どうやらアーティストの移住を支援している瀬戸内海の海辺の街を舞台に、美術部の少年(中2くらい)奏介と先輩や後輩、怪しげな美術家、怪しげなカップル、怪しげな祭りたちが織りなす日々。浮世離れしたファンタジーのようで、油断してると不意に現れる現実というか恐怖というか、そのバランスが絶妙過ぎて痺れる。子どもたちが作るアートのように映画そのものが自由なのに、全部伝わってくるのも凄い。そして笑いのセンスと編集のリズムが個人的には完璧だった。めっちゃ笑った。
超豪華な俳優陣もみんな本当に良かったけど、特に唐田えりかクンの可愛さが衝撃的、これはヤバい。いかがわしいほど二枚目な高良健吾がいかがわしい二枚目役なのも詐欺師みたいな諏訪敦彦が詐欺師みたいな役なのも納得しかないし、クドカンの贅沢な使い方には大好きな「季節のない街」を思い出して大納得。あれも森﨑東みたいなドラマやったし。悲劇と喜劇が同時進行してる感覚。
同じく小豆島を舞台に同じく漫画を原作にした某I泉監督の映画を思い出し、あそこに出てきたザ・東京の子役的な現地の子ども役とは比べもにならない子どもたちの姿、演出も奇跡みたいに良くって。つい乱暴に「もうこれからは女性監督の映画だけでええんちゃいまっか」と言いたくなる気持ち。